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アニマルウェルフェアとは?日本の遅れや現状を解説

卵かけご飯が大好きだ。ほぼ毎朝食べていると言っても過言ではない。それは環境が変われど同じだが、海外留学に行った際、現地の友人の前で食べようとしたところ「卵かけご飯を食べたことがない」と言われ、かなり驚いた。聞けば、日本は1人当たりの卵の年間消費量が世界2位(※1)で、生食文化もとてもユニークらしい。しかも、その約96%(※2)を国内生産でまかなっているのだから驚きだ。けれど、その自給率を守るため、鶏が自由でない生活を強いられていると知ったら、あなたはどう感じるだろうか。

今回は畜産動物を含め、私たちと共に地球に生息する全ての動物が、より良く生きるための考え方「アニマルウェルフェア」を紹介したい。

※1 参考:鶏鳴新聞「1人当たり鶏卵消費量 日本は337個で2位 前年より3個減少 2021年各国データ IEC報告より〈上〉」
http://keimei.ne.jp/article/1人当たり鶏卵消費量-日本は337個で2位-前年より3個減.html
※2 参考:一般社団法人日本養鶏協会「鶏卵の需要の見通し 2021年9月」p.1
https://www.jpa.or.jp/stability/pdf/keiran202110_01.pdf

アニマルウェルフェアとは?

WOAH(国際獣疫事務局)によると、アニマルウェルフェアとは「動物が生きて死ぬ状態に関連した、動物の身体的及び心的状態」を指す。(※3)動物福祉学、動物看護学の考え方を参考に更に詳細を述べると、「人が世話や管理をしたり、あるいは何らかの影響を及ぼしたりする動物について、生理的、環境的、栄養的、行動的、社会的な欲求が満たされることによってもたらされる幸福(well-being)の状態」のことを指す。(※4)つまり、畜産動物を命あるものとして尊重し、彼らにとってストレスや痛みが限りなく少ない環境で飼育することを目指す在り方だ。

アニマルウェルフェアの意味と考え方

アニマルウェルフェアは欧州を中心に1960年代に提唱され、今日に至るまで国際的な基準及び共通認識となっている。その起源は、英国の動物福祉活動家ルース・ハリソンが自身の著書『アニマル・マシーン』(1964年)内で建物の中であたかも工業生産のように行われる畜産、工場畜産を批判し、読者が反応したことにあると言われている。つまり、アニマルウェルフェアが初めて認知されたのは、私たちと同じくいち消費者の声がきっかけだったのだ。

アニマルウェルフェアの土台となるのが、動物福祉のための5つの自由(The Five Freedoms for Animal)である。

アニマルウェルフェアの5つの自由

先に述べた消費者の声をきっかけに、1965年にはイギリス政府による委員会(ブランベル委員会)が発足された。そこで掲げられたのがアニマルウェルフェアの“5つの自由”である。

飢え、渇きからの自由
(Freedom from Hunger and Thirst)
恐怖及び苦悩からの自由
(Freedom from Fear and Distress)
物理的、熱の不快からの自由
(Freedom from Discomfort)
苦痛、障害、疾病からの自由
(Freedom from Pain, Injury or Disease)
通常の行動様式を発現する自由
(Freedom to behave normally)

これらアニマルウェルフェアの実現に向けた“5つの自由”は、畜産動物だけでなく、野生動物やペットとして人間と生活を共にする動物も含む全ての動物が対象である。

アニマルライツとアニマルウェルフェアの違い

アニマルライツとアニマルウェルフェアは、どちらも個々の動物の幸福を志向するものだが、その内容は異なる。アニマルライツは、すべての動物が人間の支配から解放された生活を送る“権利”があると考えるものである。動物由来の食品の使用や摂取を控える菜食主義(ヴィーガン)は、家畜産業の在り方へのアンチテーゼとして取り入れる人が多く、アニマルライツの思想に基づいたライフスタイルといえる。一方で、アニマルウェルフェアは、「動物が人間のコントロール下にある」という前提にのみ適用される考え方だ。

これらの違いを家畜産業を例に説明すると、家畜産業のあり方自体に問題を提示する思想がアニマルライツであり、家畜業の営みは認め、その中での動物の自由を尊重・保障するというのがアニマルウェルフェアの考え方である。異なる前提の下に存在する2つの思想ではあるが、これらは地続きになっているという考え方もある。例えば、アニマルライツの実現を目標とすると、その間の行動やライフスタイルはアニマルウェルフェアを前提とした活動になる、といった具合だ。

他の記事をチェック:アンコンシャスバイアスとは?その意味と具体的な事例を用いて解説

アニマルウェルフェアに関する問題

アニマルウェルフェアに関する問題は、食用、娯楽、実験など、動物が人間に利用されるあらゆる場面で発生する可能性がある。以下は、アニマルウェルフェアの視点から問題になることが多い人間の活動の例である。

動物実験

アメリカの動物実験産業では、毎年2,500万匹もの動物が残酷な実験にさらされている。(※5)ウサギ、マウス、モルモット、その他の動物たちは、常にストレスのかかる作業や実験を受けている。あるものは器具に拘束され、目に物質を流し込まれ、またあるものは強制的に餌を与えられ、痛みを伴う手術に耐えなくてはならない。実験動物の多くは、ステンレス製の檻の中で一生を過ごすことになり、先に挙げたアニマルウェルフェアの5つの自由はどれも保障されていないことがほとんどだ。

畜産動物

米国でアニマルウェルフェア違反が最も多く発生しているのは、被害動物数の多さから見て、畜産産業であると考えられている。(※5)牛、豚、鶏、羊などの家畜動物は、暗く不衛生な囲いの中で飼育されている場合が多く、尻尾やくちばしの一部を切り落とされるなど、麻酔なしで日常的に身体切除を受けている。コスト効率と利益を優先するが故に、アニマルウェルフェアの視点が欠落している場合が多いのだ。

密猟

密猟もまた、アニマルウェルフェアを無視した悪質な動物搾取の一例である。例えば全身が固いうろこでおおわれているセンザンコウなどの鱗甲目類の取引では、毎年300万匹近くが野生から捕獲され(※5)、時には数週間もかけて長距離輸送され売買されている。ゾウ、サイ、トラ、ゴリラも密猟の対象になっており、ゾウやサイは、生きたまま顔から牙や角を切り落とされることが多い。

世界のアニマルウェアに対する動きと日本の現状

世界的に急速な普及が進むアニマルウェルフェアだが、中でも活発な動きとして各国で見られるのは、鶏卵業でのバタリーケージの廃止である。

バタリーケージとは、鶏かごを積み重ねた立体的な鶏の飼育舎(=battery)で、鶏の体長より狭いケージ(=cage)で飼育する手法のことだ。バタリーケージは1羽当たりのスペースがおよそB5サイズと、鶏にとって大変窮屈な作りをしており、止まり木や砂場など、鶏が快適に暮らすための器具は設置されていない。更には糞尿の始末をしやすくするために、鶏の足元でさえ金網となっている。つまりバタリーケージは、鶏にとってはかなり不十分な住環境といえる。
アニマルウェルフェア先進地域であるEUでは、現在バタリーケージの廃止率は100%だ。更に平飼い・放牧への移行が進んでおり、2024年度時点で60.8%に至っている。(※6)

一方日本では、NPO法人アニマルライツセンターが2023年に養鶏業を営む農家を対象に行ったアンケートでは、未だ98.89%(※7)がバタリーケージを採用していると報告されている。また同調査では、養鶏業を営む人のうち、養鶏業におけるアニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養の指針を知っている人は、6割に留まった。アニマルウェルフェアが最初に提唱されてから、約60年後でもこのような結果が出るという点からは、世界と比べて、日本のアニマルウェルフェアに対する意識がいかに遅れているかがわかる。
ただし、改善に向けた動きも進みつつある。農林水産省は2020年に「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方について 」を発表し(※8)、2021年からはアニマルウェルフェアに対する相互理解を深めることを目的とした意見交換会を開催しており、ケージフリー化についても検討段階であることは補足したい。

世界に広がるアニマルウェルフェア

欧州はアニマルウェルフェアが最も進んでいる地域の1つだ。先ほど紹介したバタリーケージも、2000年代後半に法律で廃止されている。また、動物愛護団体の影響力も大きく、国だけでなく消費者・生産者も一丸となってアニマルウェルフェアを進めている。
では実際に、各地域ではどのような取り組みが行われているのだろうか。

  • アニマルウェルフェアにまつわる法令整備(イギリス・欧州)

アニマルウェルフェアを重んじた飼育方法への転換時における課題の1つとして、生産コストの上昇がある。畜産業においては、前述のように狭いケージに敷き詰めて飼育するなど、効率性に頼った飼育方法が殆どだ。アニマルウェルフェアに適応することで、1匹辺りの飼育面積が増えるため、1度に飼育出来る頭数が減少し、精算コスト上昇に繋がるのだ。バタリーケージに関してもこの課題を理由に、廃止が進まない国が多い。

だがイギリスでは、政府が、アニマルウェルフェアに則った生産を行う事業者に補助金を付与する制度を取りいれ、むしろ生産者側から自発的にバタリーゲージ廃止が進んだのだ。アニマルウェルフェアを重んじ、効率を重視した生産環境を改善することで、上昇した生産コストを国が補助するというのだから、自らの生産環境を改善することへのハードルは低く、導入しやすいのだ。

更には、アニマルウェルフェアへ一定基準を満たす対応を行った商品へは、認定マークを付与する制度もある。先述した「5つの自由」の基準を満たしている製品にのみ付与される認証マーク制度で、アニマルウェルフェア発祥の地として、イギリス独自の取り組みとして導入された。そのことにより「アニマルウェルフェアに対応している」という要素が、消費者の購入基準の1つとなるきっかけになった。

この動きはイギリスに留まらない。1999年に策定された「採卵鶏の保護のための最低基準に関する理事会指令」では、EU加盟国における2012年までのバタリーケージの完全廃止という明確な規定を定めた。法による拘束力ある対策を行ったことも、欧州におけるアニマルウェルフェアの促進に効果的だといえよう。

  • 自発的にアニマルウェルフェア対応商品を選択する消費者の意志(スウェーデン)

EUでは約90%がアニマルウェルフェアの考えに共感しており(※9)、実際に消費者自らの意志で動物福祉に関する法案が策定される等(※10)、大きな動きが起きている。これは、消費者に近い生産者がアニマルウェルフェアへ対応する動きを行うことによる意識改革も影響しているといわれている。その例として、スウェーデン発祥の世界最大級の家具量販店IKEAは、2018年より「IKEA Food Better Programmes」(※11)を開始した。この企画は、店舗で扱う食品を全てアニマルウェルフェアに準拠したものに変更する企画であり、その結果消費者の行動様式にも変化が現れた。
このように、国、消費者、生産者が一体となってアニマルウェルフェアに取り組むことで、アニマルウェルフェアの考え方が持続可能な状態で根付いた地域となった。

日本での現状と取り組み

一方で、日本でのアニマルウェルフェアの普及率は未だ低い。約8割の人がアニマルウェルフェアを「知らない」と回答した調査(※12)もある。前述した欧州の国々の対応に比べると、法整備においては法的強制力を持つ制度は未だ検討段階であり、生産者への補助制度も整っておらず、消費者の意識改革も進んでいない。このように、日本ではアニマルウェルフェアへの検討は進んでいるものの、現行法のままでのアニマルウェルフェアの導入は生産者に負荷がかかる。また、消費者も知識がないため購入しない、という悪循環に陥っているといえる。

日本企業の取り組み事例

国際的な競争の中で比べると、日本はまだまだ余地がある状態だ。しかし、中には評価されるべきすばらしい取り組みもある。味の素株式会社は、2016年の『企業のエシカル通信簿』内でアニマルウェルフェアへの取り組み不足を把握し、2020年から専門家によるラウンドテーブルを配置して積極的な意見交換を続けている。(※13)また2023年には、山梨県甲斐市の黒富士農場で平飼いされたにわとりのたまごを使用した「平飼いたまごのマヨネーズ」を販売した。(※14)

※3 参考:農林水産省「アニマルウェルフェアについて」https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/animal_welfare.html
※4 参考:全国動物保健看護系大学協会、 加隈良枝『動物福祉学ー専門基礎分野 動物看護学教育標準カリキュラム準拠』p.63(2014年 EDUWARD Press)
※5 参考:THE HUMANE LEAGUE「WHAT IS ANIMAL WELFARE AND WHY IS IT IMPORTANT?」
https://thehumaneleague.org/article/animal-welfare

※6 参考:European Commission「EGGS - MARKET SITUATION - DASHBOARD」https://agriculture.ec.europa.eu/document/download/9bdf9842-1eb6-41a2-8845-49738b812b2b_en
※7 参考:公益社団法人 畜産技術協会「採卵鶏の飼養実態アンケート調査報告書」  
https://arcj.org/issues/animal-welfare/1percent-cage-free/

※8 参考:農林水産省「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方について」
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/attach/pdf/animal_welfare-42.pdf

※9 参考:COMRES「Eurogroup for Animals – Broiler chicken welfare – Jan/Feb 2019」https://comresglobal.com/wp-content/uploads/2019/03/Eurogroup-for-Animals_ComRes_Broiler-chicken-welfare_Global-tables_2019.pdf
※10 参考:Europian Union「End the Cage Age」
https://europa-eu.translate.goog/citizens-initiative/end-cage-age_en?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

※11 参考:IKEA「IKEA Food Better Chicken」
https://www.ikea.com/gb/en/this-is-ikea/sustainable-everyday/ikea-food-better-chicken-pub4fcff351

※12 参考:認定NPO法人アニマルライツセンター「2016-2021推移 畜産動物に関する認知度」
https://www.hopeforanimals.org/broiler/2021survey/

※13 参考 味の素株式会社「「動物との共生」のあり方に関するラウンドテーブル」https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/keyword/roundtable.html
※14 参考 味の素株式会社「~大自然に囲まれた農場でのびのび育ったにわとりのたまごを使用~「平飼いたまごのマヨネーズ」新発売
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2023_12_08.html

アニマルウェルフェアについて考えるべき理由とメリット

快適な環境下で飼育することにより、動物のストレスや疾病を減らすことが重要視されるアニマルウェルフェアだが、その結果、生産性の向上や安全な畜産物の生産にも繋がると言われている。それだけでなく、欧州をはじめとした世界中でアニマルウェルフェアが急速に普及している背景として、ESG投資の観点で投資家からの要請の高まりが影響しているようだ。

ESG投資とアニマルウェルフェア 

ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資を指す。世界持続的投資連合(GSIA)の調査によると、2023年のESG投資の全運用資産は30.3兆ドル。一般的な投資も含めた世界中の総運用資産の3分の1を占めるとされている。(※15)食品産業では事業・製品展開において動物との関わりがある以上、ESG投資機運への対応が喫緊(きっきん)の課題であり、アニマルウェルフェアはその重要な評価基準となっている。BBFAW(ビジネス ベンチマーク オン ファーム アニマルウェルフェア=畜産動物福祉を向上させることを目的とした企業のベンチマーク)による食品産業を6段階で評価する水準も存在し、ESG投資に大きな影響を与えている。身近な例として、この機運にいち早く対応したのがマクドナルドであり、BBFAWでも上位2ランクにあがっている。一方で日本の食品企業も対象となっているが、残念ながらほぼ最低ランクにとどまった。(※16)

アニマルウェルフェアの取り組みにおける課題 

日本の食品産業がアニマルウェルフェアの導入に舵を切れていない原因を、より詳細にみてみたい。

認知度の低さとコストの高さ

繰り返しになるが、日本のアニマルウェルフェアを取り巻く環境として、消費者からの認知度の低さと、補助金制度が未熟なことによる生産者の負担増加の課題があり、中でも鶏卵業はこれらと深く関係している。日本の卵は“物価の優等生”と呼ばれるほど、いつでも安価な価格で購入することができる。私たちが生活するなかで、卵が定期的に特売の対象品となっているのを目にすることはないだろうか。そのくらい、私たちにとって卵とは“いつでも安い”と認知された商品なのだ。だが、その認知を支えるために低価格・大量生産を前提とした、効率重視の養鶏が行われている。現状その犠牲となっているのがアニマルウェルフェアであり、バタリーゲージの廃止が進まない要因となっている。

輸出割合の低さと、需要不足

また、現状日本の畜産業は輸出割合が大変低く、アニマルウェルフェア先進国の厳重な基準に対応を迫られる機会が少ないのも、アニマルウェルフェアが普及しない要因の1つと言えるだろう。

※15  参考:GLOBAL SUSTAINABLE INVESTMENT ALLIANCE「GLOBAL SUSTAINABLE INVESTMENT REVIEW2022」
https://www.gsi-alliance.org/members-resources/gsir2022/

※16 参考:BBFAW「The Business Benchmark on Farm Animal Welfare Report 2021」
bbfaw-report-2021_final.pdf

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消費者が考えるべきこと、できること

ここまでの流れを鑑みて、アニマルウェルフェアへの対応は依然として急務であるが、何より重要なのは、いち消費者である私たちが、まずはアニマルウェルフェアへ反応を示すことであろう。なぜならば、どの食品においても、購買における最終的な選択権は私たち消費者にあるからだ。前述の鶏卵業の事例のように、卵を“安価である”という基準だけで選択し続けると、アニマルウェルフェアの発展はいつまでも見込めない。

「安い」「名産地として有名」「生産者の顔が見える」「手軽さ」等、購入基準は人によって様々であろう。様々な選択肢があるのを前提に、まず食品の生産過程に注目してほしい。その食品が生産される中で、どれだけアニマルウェルフェアに準拠しているかを確認した上で、選ぶ。そんなひと工夫を加えることで、アニマルウェルフェアは私たちの身近なところで、更に発展するに違いない。これまでの当たり前を心地良く変化させるために、まずは日々の買い物から意識していきたい。   

動物と共生する、より良い社会のために 

アニマルウェルフェアは、国や生産者はもちろんだが、何よりも私たちの自発的意識が重要だ。今あなたの隣にいる動物だって、私が今日も朝ごはんで食べようとしている鶏卵だって、人間と同じく人生があり、それを人間の事情で軽視することは決してあってはならない。何より重要なのは動物を尊重するという姿勢と、1人ひとりがアニマルウェルフェアに対して明確な携わり方を定めておくことだ。前述したように、最終的な選択権は私たち消費者にある。私たちが人生を共にする動物に対し等しく敬意を払うことで、その先にある未来はより良いものになるに違いない。

文:たむらみゆ
編集:おのれい