
ラップデュオchelmicoとして活動しながら、DJやソロ活動、あしたメディアPodcastを始めとする数々のラジオ・Podcastにも出演するなど、活躍の幅をどんどん広げているRachelさん。そんなRachelさんにいま関心のあるテーマを聞いたとき、話してくれたのが「女性をフックアップしたい。いろんな分野で頑張ってる、カッケー女たちに会ってみたい!」という思いだった。
そこであしたメディアでは、連載「Rachelとカッケー女たち」をスタート!Rachelさんと一緒に、さまざまな“カッケー女たち”に会いにいくことにした。
▼RachelさんがMCを務めるあしたメディアPodcastもぜひお聴きください!
連載初回は、Rachelさんに“カッケー女たち”に会いたい!と思う背景を聞いた。妊娠・出産を経て、アーティストとしてのキャリアも邁進中のRachelさんが、いま会いたい女たちとは?

キャリアを示してくれる女性たちにもっと出会いたい!
今回の連載は、「社会で生きるさまざまな女性に会ってみたい」というRachelさんの思いを軸に展開していきたいと思っています。まず、Rachelさんが今回のテーマに関心を持ったきっかけは?
自分自身が女性として、アーティストとして活動しているなかで、なんとなく「女性のほうが活躍する場が少ないんじゃないかな?」と思ったのがきっかけですね。女性のアーティストはいっぱいいるけど、フェスに出たら私たちchelmicoしかいないとか、いつも同じようなメンバーしかいないとかいうことがよくあって。これってどうしてだろう?と気になっていました。
その後、女性アーティストにフォーカスしたインタビューを受けたり、実際にヒットチャートにジェンダーギャップがあるという話を聞いたりするようにもなって、「やっぱりそうなんだ」と考えさせられて。じゃあ音楽業界だけじゃなく、広く社会全体ではどうなってるんだろう?とも考えるようになりました。
あとは、私自身が出産や育児を経験するなかで、違う職種でも同じように育児も仕事も頑張っている女性はいっぱいいるはずだけど、意外と出会う機会がないとも感じていました。自分が女性としてキャリアを重ねていく上で、こうなりたい!とか、こんな働き方もあるんだ!とか、勇気をもらえる存在もいっぱいいるはずなのに、見つからなくて。「あれ、どこにいるんだ?」って、そういう気持ちもありましたね。

女性としてアーティスト活動を続け、出産や育児も経験するなかで、だんだんと身近な関心ごとになってきたのですね。
そうかも。最初の頃は自分でいっぱいいっぱいだから、周りの環境のこととか、将来のことって全然考えてなかったけど、いざ自分のライフステージが変わってきたときに、いろんな疑問点が出てきて、気になってきたのかもしれません。
それまで、周りの方とそういう話をすることはあったんですか?
意外としてなかったんですよね。「妊娠したよ」というニュースを出したときに、近い立場のミュージシャンから「キャリアはどうするの?どういうふうに働いていくの?」みたいな声をかけられることが多くて、「そうか、自分たちみたいにこれから頑張るぞ!というタイミングで妊娠・出産してる人って、あまり周りにいなかったんだ」と気づきました。Charaさんとか、あゆ(浜崎あゆみさん)とか、そういうレベルの先輩はいたんですけどね(笑)。
女性の2人組となると本当にロールモデルがいなくて、純粋に働き方の見えなさみたいなところに、自分たちも周りも不安があったのかもしれないです。周りのスタッフさんたちも多分テンパってたと思います(笑)。私たちが活動できる方法を色々考えてくれて、ここまで活動してきました。

意見が近い人同士の会話は気持ちいいけど、違う見方も知っておきたい
最近は、周りの方と働き方や女性のキャリアについて話すような機会も増えたんじゃないでしょうか?
私の周りにいる友達は、男女問わず、ジェンダーギャップとか、ライフイベントとキャリアに関する話題に興味がある人は多いかもしれないです。ただどうしても意見が近い人同士になるので、気持ちいいだけの会話になっちゃうときも多いなって。場合によっては、お互いに共感して、文句を言い合って終わりになっちゃう。
そういう時間も必要なんですけど、それだけになっちゃうのはもったいないなって思います。だから、自分と違う意見や、広い視野を持っている人の話も聞くようにしたいなと思っています。
知識や新しい視点を持つようになると、過去の自分を振り返ってハッとすることもあるなって思います。Rachelさんもありますか?
全然ありますよ。過去の自分の発言で、おいおいおい!って思うものもいっぱいあると思います。
ミスiDというコンテストに参加していた20歳の頃とかは、まだまだ自分で自分をエデュケートできてなかったと思います。インターネットをめちゃめちゃ使っていたので、自然とネット文化が染み込んで、もしかしたらやんわりと女性蔑視の感覚すらあったかもしれません。
当時はアイドルが好きで、純粋に楽しんでただけだったんですけど、いま振り返ると、「女を消費する女」みたいな立場に自分を置いていたかもしれないなって。タイムスリップできるなら、自分に“理解”らせてやりたい……過去の私もきっと分かってくれるはず……(笑)。
もちろん時代柄もあると思いますし、当時見ていたエンタメも違うから、いまとは価値観が違っていても仕方ないと思うんですけど。私も少し前までは、当時の社会風潮に流されて、アップデートされていない価値観を内在化していた1人だなと思ってます。
▼Rachelさんとインターネットについて聞いた記事はこちら

竹中夏海さんが連れてきてくれた場所、安リア
いまRachelさんはPodcastもたくさんやっていますよね。とくに竹中夏海さんとやっている「我々は安心してリアリティーショーが観たい(通称:安リア/TBS Podcast)」は、リスナーが勇気づけられる内容も多いと思います。
なっちゃん(竹中夏海さん)とは、ジェンダーに関する話も良くします。なっちゃんは私より年齢も上で、女性の権利や健康問題についても積極的に発信しているから、疑問があったらよく聞くし、頼りにしてます!
安リアは、すごくいろんなお便りをいただくんですよ。普通、ラジオのお便りって3行くらいだと思うんです。でも安リアだと、2枚くらいくることもある(笑)。みんなちゃんと考えて書いて送ってくれるから、誤解がないようにと思ってどんどん注釈が増えていくんだけど、一生懸命伝えようとしてくれてるなって、それも愛おしくて。私自身も勉強になることも多いし、いつもすごく楽しくお手紙読んでます。
安リアも、私がこれまでやってきたこととは違うことなので、「ここに、なっちゃんに連れてきてもらったな」って思ってます。
▼TBS Podcast「我々は安心してリアリティーショーが観たい」はこちらから

“Rachelとして”発信したいこと
Rachelさんは活躍の幅がどんどん広がっていますよね。そこについて心境の変化もありますか?
最近は、自分のために頑張る以外のこともしたいな、って思ってきたかな。いままでは仕事とか子育てとか、ひたすら「自分のことを頑張る!」って感じだったけど、いまは頑張ってきたことを活かして、もうちょっと広げていけることがないかな?という気持ちになってきました。ちょっと余裕が出てきたのかもしれません。
これまでは、自分がした発言を誤解されたくない!という気持ちが強かったんだけど、いまは多少誤解されたり、文句を言われたりしてもいっか、って。自分なりにやれることはやってるって自信がついてきたから、怖いことが減ったのかもしれないです。本当にここ1年くらいの変化ですね。
あしたメディアPodcastでも、Rachelさんの考え方になるほどな、素敵だなって思うことがたくさんあります。いつも率直に意見を聞かせてくださる印象があったので、ここ1年と聞いて、ちょっと意外に感じました。
たしかに、あしたメディアの存在も大きいかも。これまでchelmicoとして活動するなかでは、自分の価値観とか、ポリティカルな考えについて、個別で発信する機会があまりなかったんですよね。音楽ユニットとして、私とまみちゃん(鈴木真海子さん)、2人の意見を発信するようなことが多かったなって。でも最近は、Rachelとして意見を言う場所も増えてきたし、責任も持てるようになってきたから、自信につながっているのかもしれないです。
あしたメディアもその1つで、Rachelの意見として安心して話せるし、継続して関わるなかで、「戻れる場所としてここがあるから大丈夫!」みたいな、新しい軸になっているのかもしれません。

あしたメディアをそんなふうに捉えてくださって、嬉しいです!具体的にこんなこともやってみたい、と考えていることはありますか?
ソロ活動も始めたので、そちらでチャリティイベントとかやってみたいですね。グッズを作ってその収益を寄付するとか。まだやり方が分からないので、同じ事務所でそういった取り組みをしている思い出野郎Aチームにもやり方を聞いてみたいな。2025年4月から所属している事務所のカクバリズムも、社会のためにできることがないかと考えているスタッフがたくさんいるので、事務所の力も借りながらいろんなことができそうだなと思ってます。
音楽以外でも、ボランティアとか、自分にできることがあったらしたいなって思います。
▼ソウルバンド 思い出野郎Aチームが開催した手話ライブのレポートはこちら
▼思い出野郎Aチーム マコイチさんへのインタビューはこちら
頑張ってるみんな、それだけでもう、カッケー女!
ここから連載がスタートします。Rachelさんがいま思い描いている“カッケー女”のイメージを聞かせてください!
私は自分の経験を通じて、子を持つ人として、ここまで話してきたような疑問とか葛藤がありました。でも選択はそれだけじゃなくて、家族を持たない選択をする人もいるし、いろんな考え方があります。みんなそれぞれの場所で超頑張って闘ってて、一生懸命生きてて、もうそれだけでかっこいいやん!って思ってます。世の中にはカッケー女がいっぱいいるじゃん!って。
「女性をフックアップしたい」という思いももちろんあるんだけど、もっと純粋に、そんないろんなカッケー女たちに会ってみたいなって気持ちがあります。私と同じように、人の前に出るお仕事の同世代や先輩とも改めて話してみたいし、それ以外でもいろんな仕事の現場で頑張っている女性にも会ってみたい。キャリアアップして偉くなってる人も気になるな……。
私も「自分のため」だけじゃなくて、もう少し人のためとか、社会のために動いていきたいなって思っているので、そういうふうに社会のなかで頑張っている、いろんな女たちの話を聞いてみたいなって思ってます!

Rachel
友達2人組で結成したラップユニットchelmicoのメンバー。2014年に結成、インディーズを経て、2018年にメジャーデビュー。CMソングやアニメ・ドラマの主題歌、アーティストへの楽曲提供など、幅広く活躍している。
Instagram @ohayoumadayarou
X @ohayoumadayarou
取材・文:大沼芙実子
編集:日比楽那
写真:服部芽生
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