梅雨が明け、いよいよ夏本番。夏といえば、各地で開催される音楽フェスも楽しみのひとつだろう。一方で、年々気温が上昇し、熱中症の懸念から夏フェス自体の開催が危ぶまれるというニュースも耳にするようになった。フェスもまた気候変動や環境問題と切っては切り離せないだろう。
そんななか、リユースカップを推奨したり、ゴミのリサイクル活動を行っていたり、エコな楽しみ方を提案しているフェスは多くある。この先も夏フェスを楽しむためには、参加者もできるだけ環境に配慮した過ごし方をすることが大切だ。
今回は、普段からフェスに足繁く通うという、ラジオDJ・板東さえかさん、会社員・有田紗世さん、ラジオパーソナリティ・長井優希乃さんの3名に、エコなフェスの楽しみ方について教えてもらった。
2025年に訪れるフェスの予定や、過去の印象的な出来事も一緒に教えていただいた。3名の話を参考にフェスの予定を決めるのもよし、自分のフェスの思い出に浸るもよし。でもその後に、ぜひ自分たちが環境のためにできることは何か?を考えてみて欲しい。
板東さえかさんの場合
板東さえか(ラジオDJ)
大阪出身、FM802 DJ。イベントMC/DJ、TVナレーターやリポーターなど音楽を真ん中にカルチャー発信中。
この夏、予定しているフェスはありますか?
2014年から毎年参加しているFUJI ROCK FESTIVAL、去年から大阪会場を万博記念公園に移したSUMMER SONIC、中学生の頃から参加して20年になる大阪の夏の風物詩RUSH BALL、福井県・市役所の目の前で特設されるONE PARK FESTIVALなど2025年もすでに盛り沢山です!
過去にフェスで印象的だった出来事は?
初めて行った音楽フェスは2005年、大阪・泉大津に会場を移して開催されたRUSH BALLです。BUMP OF CHICKENが出演するとラジオや雑誌で知り、文通をしていたバンプファンと初対面でフェスに初参加しました。服装や持ち物はもちろん、フェスでの過ごし方の参考となる資料が今のようにはなかった時代で、観たいステージのために開演から8時間スタンディングエリアで楽しみました(笑)。喉が乾いていたもののお水を買いに行けていなかった私に、近くにいた方がお水をくれた体験がいまだに忘れられないです。
フェス参加時に環境に気をつけていることや今後気をつけたいことを教えてください。
学生時代にOTODAMA〜音泉魂〜のゴミナビゲーションのスタッフを何年か経験したこともあり、フェス会場でのゴミの分別はルールを守って取り組んでいることと、そもそもゴミがなるべく出ないようにドリンクに関してはマイボトルを持参しています。フェスでの服装は機能性のあるものを選ぶことが多いですが、長く着られるようクオリティ高いものやアフターケアサービスのあるブランドを愛用したりしています。
有田紗世さんの場合
有田紗世(会社員)
大阪出身、都内在住の会社員。Instagramで発信する暮らしの様子や、仲間とアウトドアレジャーや旅行を楽しむ様子が人気を集める。
この夏、予定しているフェスはありますか?
真夏のフェスはどうしても楽しいより暑い方が勝ってしまうのでここ最近は5、6月のフェスに参加しています。今年の森、道、市場には友達10人でキャンプサイトで全日参加しました。海と遊園地にあるフェスで食べ物や物販も楽しみなフェスなので3日間があっという間に過ぎてしまいました。今年は10月に京都音楽博覧会に行こうと思っているのと、FUJI ROCK FESTIVALに1日でも参加しようかなとギリギリになるまで悩んでいます。
過去にフェスで印象的だった出来事は?
何年か前に参加したGREENROOM FESTIVALでのCharaのステージです。Charaは元々好きでワンマンにもよく参加していたのですが、その日は息子のHIMIくんが特別ゲストとして登場して。HIMIくんが生まれる前に作った「大切をきずくもの」を歌ったのがとても印象的な出来事です。自分が生まれる前に母が作った曲を一緒にステージで歌うというシチュエーションはもちろん二人の歌声とすぐ近くの海の気配とちょうど夕暮れ前の気持ちいい風に包まれて本当に幸せで、一生忘れないだろうなと思いながら聴いたことを強く覚えています。
フェス参加時に環境に気をつけていることや今後気をつけたいことを教えてください
昨今のフェスはイベント自体がとても環境に配慮されていてとても素晴らしく、自分にとって環境への意識が高まる機会になっています。必ずすることは大小数枚ゴミ袋を持って行って、ゴミをどんな小さいものでも絶対に落とさないように、自分たちのエリアの近くにゴミがある時も拾うようにしています。リユースカップも普及しているのでなるべく利用するようにしています。まだ自分のリユースカップを持参できたことはないので今後気にいるものを見つけて持っていきたいなと思っています。
長井優希乃さんの場合
長井優希乃(ラジオパーソナリティ/生命大好きニスト)
J-WAVE 81.3FM PEOPLE'S ROASTERYナビゲーター。文化人類学を学び、インドやマラウイ共和国の村で暮らした。訪れた国は32ヵ国。
この夏、予定しているフェスはありますか?
6月のFUJI & SUNや、7月のINSPIRE TOKYO(12日にフリーライブステージのMCをやります!)、FUJI ROCK FESTIVAL (Gypsy Avalon ステージで3日間MCをやります!)、8月のSUMMER SONICなどがあります。
過去にフェスで印象的だった出来事は?
2023年のFUJI ROCK FESTIVALは、珍しく雨が降らずとても暑かったので、一緒に行った妹と川に入って涼んでいました。石に座りながら綺麗な川に足をつけると、音楽が聞こえてくる。自然との共生を掲げるFUJI ROCKの真髄を体感した気がしました。また、Gypsy Avalonステージはちょうどいい芝生の坂のようになっているのですが、そこで寝っ転がって音楽を聴いているうちに眠くなってしまって、緑と音楽につつまれながら眠りに落ちたのが、人生で一番気持ちのいい昼寝でした。思い出すだけで幸せです。
フェス参加時に環境に気をつけていることや今後気をつけたいことを教えてください
そのフェスがどのようにその土地の環境や地域コミュニティと関わりながら開催されているのかをできるだけ学びたいと思っています。たとえばFUJI ROCK FESTIVALでは、使用済み天ぷら油をリサイクルしたバイオ燃料でステージの電力をまかなっている場所があったり、会場内の紙や割り箸は間伐材から作られていて地元の林業の応援になっている、などそういうことを知ると「こんなやり方があるんだ!」と、刺激を受けるとともに自分の視点が増え、フェスが終わっても日々の選択がよりエコなものに変わったりします。その時だけでなく、フェスと日常を繋げて行動していきたいなと思っています。
未来のフェスを楽しむために、今できること
フェスは音楽を楽しむ場であると同時に、私たち一人ひとりの行動が未来をつくる場でもある。ペットボトルを減らす、ゴミを持ち帰る、公共交通機関で移動するなど…小さな選択が積み重なって、フェスの風景はより心地よいものになっていく。自然のなかで音楽に身を委ねる幸せな時間を、これからも続けていくために。好きなアーティストのTシャツを着るように、エコなアクションも「自分らしさ」のひとつとして楽しんでみてはいかがだろうか。
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取材・文:conomi matsuura(アンケート回答をもとに編集部にて構成)
写真提供:板東さえか、有田紗世、長井優希乃
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