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顧客のために社員の意識から変えていく。BIGLOBEのCX向上全社プロジェクトとは?

ビッグローブ株式会社(以下、BIGLOBE)では事業ビジョンの「お客さま一人ひとりの“かなえたい想い”を実現するサービスパートナー」であり続けるために様々な取り組みを行っている。

今回はその中でも2023年6月から全社的に開始した顧客体験(以下、CX)向上全社プロジェクトに焦点を当てた。CXとはCustomer Experienceの略語で、顧客が商品やサービスを通じて感じる体験や価値のことだ。一般的にCX向上の達成を目指す場合、顧客に対するアプローチを中心に行うが、BIGLOBEでは並行して社内への取り組みも始めたそうだ。

BIGLOBEがCX向上のために、なぜ社内からの取り組みも並行で進めているのか、どのような取り組みを行っているのか。今回はBIGLOBEが取り組むCX向上全社プロジェクトについて社内外への情報発信を担当する「情報発信サブワーキンググループ」の伊藤海弥佳さんに話を聞いた。

▼BIGLOBE若手社員への過去のインタビュー記事はこちら 

情報発信グループ 伊藤 海弥佳(いとう あやか)さん。
2024年3月にBIGLOBEに中途入社。 主に社内向けのメルマガや座談会などを担当。

BIGLOBEの強みを活かし、変化する時代の中で顧客に寄り添っていく

まず、CX向上全社プロジェクトが始まった背景について教えてください

現代では各家庭でスマホや光回線など何らかの形でインターネットを利用していて、今やインターネットを使っていない人はいないと言っても過言ではないと思います。通信業界視点でいくと市場はかなり成熟している状況で、その分、競合他社との争いも激しくなってきています。

BIGLOBEとしては、「競争激化の中で生き残っていくためには、CX向上を通じてお客さまから選ばれ続ける必要がある」、そう感じた部長クラスの有志のメンバーがプロジェクトを立ち上げました。その後、私も含めた現場のプレーヤーレベルも、続々と本プロジェクトへ参加してきています。

競争の激しい通信業界の中で、伊藤さんが実際に業務を通して感じるBIGLOBEの通信事業の強みを教えてください。

通信業界における自社の強みは、幅広い方に使っていただけるようサービスの提供方法やサポート体制が考慮されていることだと思います。例えば、他社では申込、開通、解約などをWEBで完結し、質問をしたくても電話窓口がない場合や、電話対応は有料オプションとなる場合もあります。一方、BIGLOBEはコールセンターの窓口も質問内容別に用意し、柔軟に対応できる体制になっています。特にWEBに慣れていない世代の方などには、WEBよりも電話の方が安心いただける場合もあると思います。

事業ビジョンにもあるような「お客さま一人ひとりの“かなえたい想い”を実現するサービスパートナー」というのが、まさに、こういう点かなと思っています。

事業ビジョンに基づいて、以前から顧客の声に耳を傾けてきたということですね。そんななかで始まったCX向上全社プロジェクトでは、どのような取り組みがあるのですか?

顧客の調査結果から、目的別に6つのワーキンググループに分かれて活動しています。規模としては、1ワーキンググループあたり10人程が所属し、企画検討から実施遂行までワーキンググループ同士の横連携も取りながら進めています。具体的には以下の通りです。

  • カスタマージャーニー・調査分析ワーキンググループ:カスタマージャーニー作成や調査分析を担当
  • プロビジョニングワーキンググループ:申込~開通までの運用見直しの推進を担当
  • サービス品質ワーキンググループ:安定した回線利用の実現推進を担当
  • お客さま対応ワーキンググループ:カスタマージャーニーを踏まえたお客さまタッチポイントの見直しなどを担当
  • サービスワーキンググループ:回線サービス仕様、付帯サービス、セキュリティ対策などを担当
  • 法人ワーキンググループ:対法人向けのサービス向上を担当

中でも特に伊藤さんが気になるワーキンググループはありますか?

個人的に注目しているワーキンググループはカスタマージャーニー・調査分析ワーキンググループです。このグループでは、お客さまのニーズから申し込み、契約に至るまでの顧客体験がどのように行われているかの調査、分析を行っています。事業者目線ではなく、顧客目線から自社のサービスの使い勝手を知ることで、さらに商材理解が進むのではないかと感じています。

CX向上のために情報発信を行うグループ

現在伊藤さんが所属している情報発信サブワーキンググループについて教えてください。

情報発信サブワーキンググループは、社内外へBIGLOBEの改善活動を情報発信することで、BIGLOBEのCX向上の取り組みをアピールすることを目的とした社内横断プロジェクトです。今年の4月に発足したのでまだ始まったばかりですが、まずは社内への発信として、メルマガや社内ブログを使い、CX向上にまつわる活動の紹介をしています。

最近では、他社の回線やビッグローブ光を使っている社員を集めての座談会や、お客さまとの接点であるカスタマーセンターのオペレータにアンケートを取るなどの取り組みをコンテンツとして掲載しました。社外への発信としては、この記事も含みますが自社メディアでの掲載を開始しました。

CX向上全社プロジェクトから1年後に、「情報発信サブワーキンググループ」が発足した背景としては、真にお客さまに寄り添ったCX向上を達成するためには、社内からもCXへの意識を盛り上げ、社員に当事者意識を持ってもらいたいという思いからです。社員がCX向上を自分事化し、自分たちが提供しているサービスや商品に対してお客さま目線で考えることができるように、そして、サービスや商品を多角的に評価することができるように、と考えています。最終的には、それがCX向上につながると考えています。

伊藤さんはなぜこの「情報発信サブワーキンググループ」に関わることになったのでしょうか?

もともと広報の経験があったわけではないのですが、情報発信に関わる仕事には興味があり、今回のプロジェクトで挑戦することになりました。

また、私自身、BIGLOBE入社前にマーケティングリサーチ会社で働いた経験があるのですが、そこではデータを取得・分析するところまでが担当範囲で、その結果どうなったのか?は確認できず終了してしまいます。データの分析結果を元にお客さまの課題解決につなげるところまで携わりたいと感じてBIGLOBEに入社してきましたので、そういう意味でも、CX向上全社プロジェクトに関わることができているのは、大変嬉しいことです。

社内への情報発信であるメルマガや社内ブログでは、具体的にどんな取り組みをされていますか?

まず、BIGLOBE社員向けに月1回のメルマガを配信しています。社内ブログは、メルマガ内のコンテンツの1つでCX向上全社プロジェクトの活動内容の紹介や、「情報発信サブワーキンググループ」の活動を紹介したりなど、CX専門広報のような活動をしています。

加えて、社内ブログには、先ほど紹介した6つのワーキンググループの活動内容を記事化したり、社内で実施した座談会(後述)の様子や調査結果についても紹介したりしています。

多数のサービスを提供しているBIGLOBEだからこそ、部署横断で情報収集・発信する取り組みは重要度が高いように感じます。これまで取り上げてきたコンテンツの中で印象的なものがあれば教えてください。

CX向上全社プロジェクトの各ワーキンググループのリーダーへインタビューした「キーマンインタビュー」への反応が良かったことが印象的でした。ワーキンググループの具体的な活動紹介の内容だったのですが、CX全社向上プロジェクトメンバーの社員以外は初めて目にする内容ということもあり、社員の方がCXについて考えるきっかけの1つになったのではないかと思います。まだすべてのワーキンググループリーダーへインタビューができていないので、今後も続けていく予定です。

座談会とカスタマーセンター向けアンケートについても教えてください。

座談会では、 BIGLOBE社員の中で競合他社の固定回線を自宅で利用している方を集めて、サービスの満足・不満足ポイントやサービス仕様について話を聞きました。実施した目的は、自社サービスだけでなく、他社の魅力ポイントを探っていきたいという考えからです。また、BIGLOBEの光回線である「ビッグローブ光」を利用している方々にもお話を聞き、利用しているからこそ分かるサービスの課題などについても深堀りを行いました。それら座談会の内容は、前述した社内ブログにレポート形式で掲載してBIGLOBE社内に発信しています。

次に、カスタマーセンター向けアンケートでは、お客さまと直接お電話やチャットサポートなどでやり取りをしているオペレータから「お客さまからのお問い合わせで困っている点」や「それらの解決方法」などの意見を収集しました。それらのアンケート集計結果をメルマガのコンテンツとして発信し、サービス担当部署に直接呼びかけて解決に導くなどの活動も行っています。

顧客のために社員の意識から変えていく

メルマガ・ブログで情報を伝える際に意識していることを教えてください。

情報発信サブワーキンググループが発足したのが今年の4月、実際にメルマガやブログでの発信が始まったのは5月ということもあり、まだ社員のみなさんにも馴染みがないと思います。そのため、CXについて「いかに自分事化してもらえるか」ということを意識して情報発信をしています。

例えば、座談会の中で話題になった内容で「他社と比較して、自社での改善の余地があること」を社内ブログで公開することで、興味喚起とともに危機感を醸成していくようにしています。社内の皆が「このブログ読んでみたいな」「次号も読みたいな」と思ってもらえるような内容や、社歴が浅い方も含めて、誰にでも分かるような表現を心がけて情報発信しています。

また、メルマガ・ブログはプロジェクト側からの一方向な発信にならないよう、できるだけ双方向のコミュニケーションが取れるように意識しています。メルマガの読者アンケートでは様々な意見や感想をもらえるため、それらの意見を次号のメルマガに反映したり、要望のあったコンテンツを企画検討したりなど、常に改善しながら進めています。発信側に偏ることなく運営できるよう、今後も社内の声をしっかりと形にしていきたいです。

グループ立ち上げから約4か月が経過して、社員からの反応の変化や直接CX向上につながった場面はありましたか?

メルマガの読者アンケートの意見で、最初は記事を読んだ感想だけだったのが、最近は運用に関しての改善策や取り扱うトピックの要望をいただけるようになりました。少しずつですが、CX向上に対して当事者意識を持つ社員の方が増えてきているように感じます。

また、届いた意見が業務を通じてCX向上につながる場面も増えてきています。直近の事例では、引越し手続きの分かりにくさや認知の低さに課題があることが浮き彫りになったので、担当部署に展開したところ、すぐに対策を打つことが決まり、改善につなげられました。具体的な改善に関与でき、自分としても大変嬉しかったです。

さらに、情報発信サブワーキンググループのメンバーで、本務でカスタマーセンターを統括している担当者からは、部署を超えた動きが生まれたとの話も聞いています。情報発信サブワーキンググループが発足するまでは、カスタマーセンターとの定例会で出てきた課題は部門内で閉じてしまい、具体的な改善には結びつかないケースが多々ありました。現在は、課題や改善案などの意見を取りまとめて、担当部署へフィードバックすることで、様々な部署で問題点の改善に動き出しています。

各ワーキンググループの定例会に情報発信サブワーキンググループのメンバーが参加し、ブログ・メルマガの情報収集やカスタマーセンターアンケートのフィードバックを行なったりもしています。

CX向上にゴールはない

今後挑戦したいことやプロジェクトが目指すゴールについて教えてください。

今後は社内と社外の2軸で情報発信の取り組みを広げていきたいと考えています。

まず社内に関しては、今行っている活動をより多くの方に見ていただき、CXに対する当事者意識を持ってもらえるようなコンテンツ作りや発信をしていきたいと思っています。

また、CXが向上したかどうかというのはお客さまによって判断されるものです。そのため、企業目線で商品やサービスの継続的な改善活動を進めていくだけでは不十分ですので、お客さまからの意見をしっかりと受け止めると同時に、BIGLOBEが行なっている改善活動を社外にも正しく発信し、知っていただくことも必要だと考えています。

長期的な視点では、CX向上に「ゴール」はないと考えています。BIGLOBEの主要事業である通信業界では技術開発により日々市場環境が変化するため、お客さまが受け取る感情も流動的に変わっていくのだと思います。そうしたゴールのないところに向かって今後もチューニングし続け、お客さまにとってより便利なものをずっと追求し続けていくことが目標です。

CX向上に対して画一的な正解を追求するのではなく、幅広い顧客や市場環境の変化に対して柔軟に対応していく姿勢が印象に残った。変化の多い通信業界において顧客に寄り添い続けてきたBIGLOBEだからこそ掲げる目標達成に期待が高まる。今後の情報発信にも注目していきたい。

 

取材・文:Takeuchi Takae
編集:白鳥菜都
写真:ビックローブ株式会社提供