突然ですが、防災バッグは用意していますか?
防災バッグとは、災害等により急を要する避難の際や、生活インフラが途絶えた場合に、自宅などに備えておく非常用持ち出し袋のこと。地震や洪水、台風などの自然災害が頻発する今、防災バッグを常備しておく必然性は高まっています。
でも、どのように備えればいいんだろう?と、実際に防災バックを準備するとなると戸惑う人もいるかもしれません。ビッグローブ株式会社が行った2023年の意識調査(※1)では、約8割の人が防災意識を高めたいと答えた一方で、防災ツールや備蓄品を備えている人は約3割弱でした。そこで今回は、職業も年代も違う方々に無茶振りで「防災バッグの中身を見せてください!」とお願いしてみました。
答えてくださったのは、タレントの三原勇希さん、お笑いコンビ・9番街レトロの京極風斗さん、ガジェットメディア編集長の村上タクタさん。
ぜひ、その個性豊かな防災バッグの中身を見ながら、防災バッグについて考えるきっかけにしていただけたらと思います。
※1 参考:ビッグローブ株式会社 「防災・災害に対する意識調査」2022.8.19
https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2022/08/220829-1
タレント・三原勇希さんの防災バッグ
ラジオDJや司会業など、幅広く活動する三原勇希さん。女性のためのランニングコミュニティ「GO GIRL」を主宰するほどランニング好きということもあり、軽量のパッキングに慣れていらっしゃるご様子。1児の母でもある三原さんの、細やかな工夫が込められた防災バッグの中身はこちら。
・サロモンのリュック
・ブランケットにもなる寝袋
・おむつ×10、おしりふき
・軍手とタオル一枚
・浄水器
・除菌シート
・アルミブランケット
・いろいろ使えるおくるみ
・モバイルバッテリーにもなるランタンとコード
・ライター
・三徳ナイフ
・電池
・キーホルダー型ビームライト
・コンタクトレンズ(2week × 2セット)
・現金と身分証コピー
・簡易トイレ
・歯ブラシ
・マルチな保湿クリーム
・カイロ
・ゴミ袋、ジップロック
「常に車に積んでいる防災バッグは、ほとんど家にあるもので準備できました。令和6年能登半島地震から学んで、新たに購入したものは簡易トイレ。ばらつくものはヘアゴムでまとめておくと、いざという時に使えそう。子どもが産まれてからは防災の意識も不安もより高まったので、こうして備えておくだけでも安心材料になります。車には水のペットボトルも積んであるのですが、そういえば保存食がなかったので、すぐに追加します!」
三原さんの防災バッグは家にあるものを中心に揃えつつ、ニュースなどを見て中身をアップデートされているようです。細かいアイテムについても伺いました。
「キャンプ用の道具は、防災にも使えるものが多くて嬉しい。充電も長持ちするのですが、これを機に充電をしなおしました!」
「子どものおむつは、普段購入する際に車で買いに行って、そのままトランクに新しいものを1袋まるごと置いておくようにしています。そうすれば、いざという時にサイズが小さくなっていた…っていう心配もありません!おしりふきは色々と使えるので、大容量のものを」
「家にミニサイズがあって驚き。これを機に研ぎなおしました」
今回の取材をきっかけに、中身のメンテナンスを行なったという三原さん。子どもの成長とともにサイズの変わってしまうおむつなどの備蓄方法にも工夫が見られました。一度防災バッグを作って終わりではなく、日々更新していくことも大切です!
▼過去の三原勇希さんのインタビュー記事はこちら
漫才師・京極風斗さんの防災バッグ
京極風斗さんは、9番街レトロという漫才コンビで劇場を中心にラジオやテレビなど幅広く活動されています。絵を描くことが趣味である京極さんは、防災バッグも自身のイラストを描いてDIYしたもの。普段使いしているリュックが汚れてしまったことをきっかけに、防災バッグを作ろうと思いたったそうです。
・ホイッスル
・応急処置セット
・ロープ
・簡易トイレ
・使い切りシャンプー
・サバイバルシート
・携帯ラジオ
・懐中電灯
・充電式モバイルバッテリー
・電池式モバイルバッテリー
・単三電池
・防刃グローブ
・IKEAのバッグ
「とにかく想定しうる最悪の状況を思い描いて詰め込んでいます。僕の場合、『瓦礫に埋もれて身動きが取れない』がそれになりますので、ホイッスルはSOSの為に必須でつけています。最悪自分で瓦礫を掻き分ける必要がある場合の為に、防刃グローブやロープを入れており、ラジオ、ライト、バッテリーは、全て単三電池で動くものに統一しています。この国で食糧もままならない状況であれば元よりどうしようもない可能性が高いので、荷物に含めていません」
場合によってはすぐに食料確保ができないこともあるので、ぜひ保存食も入れておいて欲しいところ…!とはいえ、かなり具体的に災害時を想定して準備されたことがわかる防災バッグの中身となっています。
「懐中電灯は800ルーメン(光の強さを表す単位)で、ヘッドライトレベルの光です。災害時では停電も起きるので、実用的な光の強さではマックスの数値のものを買いました。災害時に必要なポータブルラジオは、木目調のデザインもお気に入りです」
「ガラスなど危ないものが落ちているときのために、刃物も持てる防刃グローブを。ロープは防災サイトで必要だというのを見て、しっかりしたものを購入しました。サバイバルシートは、かさばる毛布の代わりに防寒対策として入れています」
防災バッグを作るにあたって、役立ちそうなものをオンラインサイトで購入したという京極さん。サバイバルに対応できるかなり頼もしいアイテムが揃っていました。備えあれば憂いなし。家にあるもので揃えることも良いですが、余裕のある方は改めて防災グッズを買い揃えておくことも、安心に繋がるのかもしれません。
京極さんのYouTubeでも防災バッグの詳細を紹介されているので、気になる方はぜひご覧ください。
編集者・村上タクタさんの防災バッグ
ガジェットとテクノロジーのメディア・ThunderVoltの編集長である村上タクタさん。聞くと「実は、防災バッグは持っていないんだよね…」とのこと。無防備なわけではなく、家にある家族全員の持ち物を災害時にも活用する方針のようです。防災“バッグ”ではないですが、家中にある防災グッズを見せていただきました。
「写真はガレージにあるキャンプ用品。寝袋も、夏用から雪山対応のものまで10数個用意しています。自分たち自身が備えになるように子どもたちを育てたつもりです。家族4人とも元ボーイスカウトで長期キャンプ経験があります。長女は2週間以上の長期キャンプの経験がありますし、長男は富士特別野営という、テント、マッチなしで冬の山野でサバイバルした経験があり、ファーストエイドの講習も何度も受けています。ガレージにはキャンプ用品があり、クルマやバイクには応急キットを常備。妻は日常でも素材から料理をするので、台所には1カ月分ぐらいの食材があり、小麦粉やイーストやナッツ類を使ってパンやナンを焼けます。ちょっと面白いのは個人所有でStarlink(スターリンク)を持っているので、ライフラインが途絶しても人工衛星経由でネット接続を維持できること。大容量電池やソーラーバッテリーもあるので、ネットに接続して情報を取得/発信し続けられます」
Starlinkという言葉は聞き馴染みがないかもしれませんが、アンテナを設置するだけで全国、全世界どこでも繋がる衛星通信サービスのこと。アメリカの民間企業が運用しており、日本でもKDDI株式会社などが法人サービスとして導入を進めているそうです。個人で所有されているとは、さすがガジェットメディアの編集長!それぞれのエリアの防災グッズを見ていきます。
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「ナタから、ノコギリ、コンロ、応急セットまでキャンプ用品はケースにひとまとめに入れています」
「妻はパンを焼くのが趣味で、既製のパンはほぼ買わないほど。小麦粉があれば、キャンプならナンなどを焼くこともできますし、食材は素材状態で大量に保持しています」
「キャンプ用に5万mAh、10万mAhクラス(mAh=1時間に放電する電流量の単位)のモバイルバッテリーや、ソーラーバッテリーも保持しているので、万が一にも役立つはず」
「ウクライナ戦争の情報発信でも役立ったという、Starlink。屋外にアンテナを立てるだけで、電源があれば回線なしでもネット接続が可能です。右はキャンプサイトで、衛星経由で仕事をしている場面」
テクノロジーとアウトドア、どちらも活用する村上さんの防災アイテム、どのアイテムを見ても、凄い…という言葉が思わず出てしまいます。自分には難しいかもという気持ちになってしまいそうですが、普段の趣味を防災にも活用する方法は、参考になるかもしれません。例えば山登りで使っている道具を防災用にしたり、料理に使う食材を防災面でも使用できるものに切り替えたりすることであれば、すぐ実践ができそうです。
まとめ
ここまで3人の防災バッグを拝見してきました。三者三様の個性が感じられる防災バッグ、いかがでしたでしょうか?
「防災バッグ」ひとつとっても、それぞれの個性が感じられ、同じものはありませんでした。防災バッグに最低限詰めるべきものはありますが、これが正解というものはないのかもしれません。自分の普段のライフスタイルや趣味に合わせて、災害時にどう備えるかを日頃から考えておくことが大事だということを実感しました。ちなみに筆者は、元気の出る本をお守り代わりに防災バッグに忍ばせています!ここまで読んでくださった方は、ぜひ身近な人と、防災バッグの中身を話してみていただければ幸いです。
<防災バッグ参考ページ>
取材・文:三原勇希、京極風斗、村上タクタ、conomi matsuura
写真提供:三原勇希、京極風斗、村上タクタ