変化の激しい時代には、企業にも常に柔軟な姿勢が求められる。
とくに昨今では、SDGsのかけ声のもと「誰ひとり取り残さない」持続可能な社会の実現が急務だ。社会課題への取り組みは事業の前提となり、企業には「社会を前進させる役割」が問われている。そのような背景からも、一層「変化」や「進化」を掲げ、現状打破に立ち向かっている企業は少なくないだろう。
「あしたメディア」を運営するビッグローブ株式会社(以下、BIGLOBE)もその1つ。インターネットサービスプロバイダー(ISP)事業やモバイルサービス事業を軸に経営を展開しているが、この数年は新たに社会課題・環境課題貢献型事業にも注力し始めた。
変化の激しい時代の中で企業が成長し続けるには、変化を敏感に察知し、率先してそのチャレンジを担う人材が求められる。チャレンジの定義は企業によって異なるため、歓迎する人材もそれぞれだと言えるが、各社力を入れて時代にあった採用活動を展開しているはずだ。
BIGLOBEでは、この変化のときにどんな人材を求めているのだろうか。自身も新卒でBIGLOBEに入社し、現在新卒採用を担当する森山いずみさんと冨尾理咲子さんに、BIGLOBEの現在のチャレンジと、“チャレンジを担う仲間集め”についてお話を伺った。
(以下、敬称略)
BIGLOBEは、いままさに「過渡期」にある
まず、おふたりはどうしてBIGLOBEに入社したのでしょうか?
森山:大学の先輩から「合うと思うよ」と紹介された会社がBIGLOBEでした。選考を受けるなかで、自分でも「1番合うな」と感じ入社を決めました。BIGLOBEは社員数約550名の会社で、少数精鋭のため、若手でも大きな事業に関われます。裁量を持って仕事ができる規模感は自分に合っていたと思いますし、バリバリ仕事をしつつ長く働きたいという理想にもマッチしていました。
冨尾:私は選考過程で、直感的に雰囲気が合うと感じました。面接の前に森山さんが「リラックスしてくださいね」と声をかけてくれたり、面接官が自分を理解しようとしてくれている姿勢を感じられたりと、好印象でした。柔らかさがありつつ自分をしっかり持っている社員が多く、様々な業務を通じて成長していける雰囲気も感じられて、一緒に働きたいと思い入社しました。
ホームページなどを拝見する限り、BIGLOBEは「新しいチャレンジ」に取り組んでいる印象を受けます。
森山:いまBIGLOBEは過渡期で、ちょうど変わっていくタイミングにあると思います。
私たちは光インターネットサービスを提供するISP事業やモバイル事業によって、人びとの生活を通信面から支えています。それに加えて、社会課題・環境課題貢献型事業にも力を入れています。
主要事業に誇りを持ち成長を目指しつつ、新しい事業の軸を模索している状況です。また社内の文化としても、前親会社であるNEC・現親会社であるKDDI双方の文化を受け、新しい人もどんどん入ってくるなかで、いろんな文化が混じり合うようになりました。「前はこうだったけど、いまは違う」ということも増えてきていて、そんな中でどう変わっていくかを考え、組織として変化している過程です。
昨年には、各部署の若手を中心とした社内有志で、BIGLOBEの「2030年のビジョン」を考えるプロジェクトがスタートし、新しいビジョン策定も進んでいます。「新しい事業領域へのチャレンジ」や、ありたい姿の実現に向け「一緒に働きたいと思ってもらえる会社・社員になる」といったことは、キーワードでも出てきていますね。
「ONSEN WORK」や「新サービス創出推進プログラム」など、新たな事業領域に挑戦中
「社会課題・環境課題貢献型事業」は、その挑戦の1つだと思います。どのような取り組みがあるのですか?
森山:従来の通信事業に加えた新たな取り組みとしては、まずONSEN WORKがあります。企業で行われる研修や合宿などの活動を、温泉地や温泉宿で行うことを提案し、ご利用いただくサービスです。企業と温泉地をBIGLOBEがつなぐことで、温泉地の活性化や、企業側も社員のリフレッシュにつながります。研修プログラムなどを通じて組織活性化やチームビルディング、発想の転換/アイデア創出といった効果もあります。
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ほかにも、他企業と協働したビルのCO2排出量削減ソリューション事業も展開しています。通信技術とAIの活用により、ビルの空調にかかる消費電力とCO2排出量を削減する取り組みです。
いずれも、取り組みとしてはまだまだこれからですが、最近では「ONSEN WORKをきっかけにBIGLOBEを知りました」という学生に会うこともあります。採用につながる面もあると感じています。
「社会課題・環境課題貢献型事業」は新しい事業だと思いますが、社内でも盛り上がっている実感はありますか?
森山:社内で出てくる新サービスで環境に配慮したものが目立ったり「SDGsに関するサービスに取り組めないかな?」という話題が多くなったりしている印象はありますね。ONSEN WORKも頑張ってやっとここまできたと思っているので、さらに発展していくといいなと思っています。
そのほかにも、新しいチャレンジとして始まった取り組みがあれば、教えてください。
森山:2021年から始まった新事業創出の取り組み「新サービス創出推進プログラム」があります。その一環で、2022年には「アイデアマーケット」が開催されました。
「アイデアマーケット」は、「BIGLOBEでこんなことできるんじゃないかな?」というアイデアを社員が自由に出し合う場で、良いアイデアはブラッシュアップし、新規事業としてスモールスタートで進めていくというプログラムです。ここでも社会課題解決に関するアイデアはたくさん出ていましたね。
森山:実は、私もこの枠組みで始まった新規事業プロジェクトに参加しています。違う部門のエンジニアとチームを組み、プロジェクトの進め方も自分たちで話し合い、社長へのプレゼンを経て予算をいただいて取り組みを進めています。利益が出るまでの道のりはまだ遠いですが、ふだんの人事業務では関われない分野なので、視野も広がりますし、面白いですね。
この取り組みには入社1年目から参加できるので、新卒1年目の社員がリーダーで動いているプロジェクトもあります。新規事業だけを担当する人はあまりいないので、メインの業務を持ちつつそのうち何割かを新規事業に割く形になります。しかし、本人のパッション次第ではチャレンジの幅もすごく広がる活動だと思います。
求めるのは「ビックローブマインド」を持った人材
そんな変化の最中にあるいま、新卒採用ではどのような方を求めているのでしょう?
森山:5年後に次世代リーダーとなる自覚をもちチームを牽引する存在に、10年後にはコア人材としてリーダーシップを発揮し会社を牽引する存在になるような、リーダー候補となる方を採用したいと考えています。
求める人材像として重視しているのは、
・「ビックローブマインド」に共感し、体現できている、または体現できるポテンシャルのある人材
・ありのままのBIGLOBEを理解して、一緒に成長したいと共感する人材
の2点です。
BIGLOBEは職種も多種多様で、いろんな領域に関わることができるので、好奇心が旺盛で、様々な分野に興味を持って取り組める方にぜひ入社いただきたいと思っています。
1点目に挙げている「ビックローブマインド」とは、どのようなものなのでしょうか?
森山:端的にいうと、「BIGLOBE社員が働く上で大切にしているマインド」です。2019年に策定され、いまは2022年にアップデートされた11項目で構成されています。BIGLOBEは組織としても様々な変化の歴史を辿ってきたので、徐々に失われつつある「BIGLOBEらしさ」もあるかもしれません。その点も意識しながら、これからの時代を生き抜くために必要なマインドをピックアップして作られました。
項目もユニークです。たとえば「トガる」という項目。BIGLOBEは2006年にNECから分社化したのですが、NEC時代から“新しいこと好きで、チャレンジをしてきた集団”という気質がありました。BIGLOBEとして独立し、環境が変わってくる中で「その尖った精神が薄れてきているのではないか?」という声も聞かれていたため、オンリーワンを目指す精神や、困難な状況に陥ってもやり切る精神を忘れないという意味合いを集約し、ビックローブマインドに盛り込まれている言葉です。
2点目の「ありのままのBIGLOBEを理解する」という点も、詳しく伺いたいです。
森山:どの企業も、良いところばかりではなく悪いところもあると思います。採用活動で良いところだけを見せても、入社後のミスマッチに繋がり、その人を苦しませてしまうかもしれません。それは避けたいと思っています。
BIGLOBEにももちろん課題があります。たとえば、先にお話ししたような「新しい事業の軸を作る」というミッションに向け、どう取り組んでいくかを模索している段階という点もそうです。「課題も含めて自分がBIGLOBEを盛り上げたい!」「BIGLOBEと一緒に成長していきたい!」と思ってくださってる方が将来的にも活躍いただけると思うので、応募いただく方には“ありのままのBIGLOBE”をお伝えしたいと思っています。
そのため、採用説明会に参加する社員には、わざと自社の課題を話すように誘導したり「もっと会社の嫌なところを言っていいんだよ」と促したりすることもあります(笑)。学生さんと社員が直接会う機会もなるべく作って、“リアルなBIGLOBE”を伝えるように意識しています。
幅広い経験を経て、リーダー人材になることを期待
新卒採用の場合、入社後はどんなキャリアを歩むのですか?
森山:新卒採用はビジネス職とエンジニア職に分けて募集をしており、それぞれの領域でジョブローテーションをしていきます。スペシャリストとして専門分野を極める方もいますし、幅広い分野を経験される方もいます。
エンジニア職は、フルスタックエンジニアという、エンジニアのオールラウンダーを育成する方針があります。当社では、インフラ周りの運用経験と開発経験の両方を兼ね備えた人材を、将来的に輩出したいと考えています。
ビジネス職も、1つの分野だけでなく他の職種も経験することで、社内での繋がりが強まったり多角的な視点が養われたりすると思います。よりBIGLOBEを成長させてくれる人材に育てるという考えのもと、幅広く経験を積んでもらっています。
実は、BIGLOBEとして新卒採用を始めたのは2016年で、1期生が現在8年目という状況です。まだ新卒採用で入ってきた人でマネージャー経験者もいないため、新卒採用のロールモデルのようなものはまだあまりないんです。本人の希望やキャリア志向を踏まえ、個々にローテーションをしながらキャリアを歩んでいっている状況ですね。
「若いうちから裁量のある仕事ができるか」など、職場環境や雰囲気は学生にとっても重要なポイントかと思います。実際仕事をされていて、お2人としては働く環境をどのように感じていますか?
森山:私が見る限り雰囲気はとてもフラットです。社長のことも「山田社長」ではなく「山田さん」と呼びますし、役職関係なくコミュニケーションを取れる文化だと思います。また「1年目の子は議事録係で発言ができない」といった文化もないので、若手でもかなり意見を発信し、議論に参加しています。
冨尾:私は新入社員で配属されて3ヶ月ですが、新卒採用のインターンシップから本選考まで一連の施策を考える企画業務に早速取り組んでいます。
森山:「やってみなよ」と言ってくれる社風なので、何でも挑戦させてもらってきた印象です。たとえばオンラインインターンシップを企画したときには、私が個人的に好きな「謎解き」や「脱出ゲーム」をうまくBIGLOBEのアピールにつながるかたちで要素として加え、提案・実施しました。新入社員の社内の繋がりづくりのため、会社のコミュニケーションスペースで懇親会を開催させてもらったこともあります。私がやりたいことをやっているだけなんですが(笑)、「やりきった!」という実感を得られる場面は多いですね。
若手が挑戦できる環境が、実際に整っているんですね。
森山:2023年4月には、人事制度も「全世代活躍型」に刷新されました。キャリアの選択幅が広がったのが大きな特徴です。もともと「この役職まで上がらないとマネージャーにはなれない」といった仕組みだったのが、年次の若い社員でも能力を発揮して成果を出せば、早期昇格や役職への登用が可能なものになりました。これまで年功序列を引きずっていた部分もあったのですが、今回の制度変更により、年代ではなく、仕事の成果に応じて評価がしやすくなりました。
少し前の会社を知っている人からは「信じられない」という声も聞くくらい(笑)。大きく変化しています。
最後に、ご自身が今後チャレンジしたいことをお聞かせください。
冨尾:私はもともと人事を希望していて、いま実際に人事部で仕事ができています。就活生によって響くものはそれぞれですし、1年ごとに採用のトレンドも変わっていきます。新卒採用の仕事の難しさは、やってみないとわからないところにあると感じています。まずは森山さんの背中を追いつつ、自分なりの色を加えて頑張っていきたいと思います。
森山:採用の業務は一通り経験したので、新しいことに取り組みたいと思っています。新規事業プロジェクトに加えて、可能であれば来年ぐらいには別部門に異動したいとも考えています。
新卒採用業務は難しさもありますが、やりがいや楽しいことの方が多いので、良い仕事だと思います。冨尾さんにも、是非楽しんでほしいですね!
若くても臆せずチャレンジできる環境をつくる
「課題もあるけれど、自分がBIGLOBEを盛り上げたい!」というマインドを持った人材を求めているというBIGLOBE。変化の渦中にある企業では、「誰かがやってくれるだろう」ではなく、若くても「私が変える!」というパッションを持った人材が求められているのかもしれない。
会社や組織の良い面だけを見るのではなく、課題を認識したうえで一人ひとりがリーダーシップを持ち会社を変えていくという姿勢は、これからの時代、どの会社や組織に属したとしても、必要になるだろう。
組織としても、事業の方針としても過渡期におり、新しいチャレンジにあふれているBIGLOBE。
同社では、10月からエンジニア職向けの新卒採用説明会が開始となる。マイページへのエントリーも受付中なので、興味を持った方は、ぜひアクセスしてみてほしい。また、BIGLOBEで働く「人」をもっと知りたい場合には、BIGLOBE Styleで社員インタビューが公開されている。こちらも併せてぜひご覧いただきたい。
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取材・文:大沼芙実子
編集:conomi matsuura
写真:編集部撮影、ビッグローブ株式会社提供