よりよい未来の話をしよう

心地よいはみんな違う。私たちのパートナーシップ【シオリーヌの場合】ーLIFULL STORIES×あしたメディア共同企画ー

誰かと一緒に生きていきたい。そう思ったとき、あなたは誰とどんな関係性で生きていくことを望むだろうか。心地よいパートナーシップは、一人ひとり違う。しかしながら、パートナーシップのあり方にはまだまだ選択肢が乏しいのが現状だ。

既成概念にとらわれない多様な暮らし・人生を応援する「LIFULL STORIES」と、社会を前進させるヒトやコトをピックアップする「あしたメディア by BIGLOBE」では、一般的な法律婚にとどまらず、様々な形でパートナーシップを結んでいるカップルに「心地よいパートナーシップ」について聞いてみることにした。既存の価値観にとらわれず、自らの意志によって新しいパートナーシップの在り方を選択する姿には、パートナーシップの選択肢を広げていくための様々なヒントがあった。

今回話を聞いたのは、助産師のシオリーヌさん。性教育YouTuberとしても活動し、自身のSNSや、学校の講演会などで性の知識を学べるコンテンツを発信している。シオリーヌさんは、2020年にパートナーのつくしさんと結婚。2022年には第一子を出産し、産後2か月で仕事に復帰している。そんなシオリーヌさんが考える、心地よいパートナーシップとは?

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心地よいはみんな違う。私たちのパートナーシップ【つくしの場合】

北海道で出会ったパートナー

シオリーヌさんにとって、つくしさんとの結婚は、人生で2回目の結婚だ。つくしさんと出会った当初のシオリーヌさんは、1度目の結婚生活を終える準備をしていた頃で、恋愛や結婚には意識が向いていなかったという。

「離婚することは決まっているけれど、手続きするエネルギーがなくて、まだ離婚届けを出せていない状態だったんですよ。結婚からまだ1年も経たないくらいで離婚することになったので、せっかく名字を変えたり、たくさん手続きしたのに、またそれをやるのかと思ったら疲れちゃって。

そんな中でなんとか引っ越しを終えて、心機一転1人暮らしを始めた頃につくしと出会いました。でも、すぐに新しいパートナーが欲しいという気持ちはありませんでした」

シオリーヌさんとつくしさんが出会ったのは、北海道だ。2人が共通して所属していた看護師のコミュニティのイベント兼旅行のために、シオリーヌさんが北海道を訪れることになった。北海道に住んでおり、看護師をしていたつくしさんは、イベント運営の手伝いをすると共に、シオリーヌさんとその友達の北海道旅行の案内役となっていた。

「私と友達が、海鮮も食べたいし、自然も見たいし、温泉も行きたいと、好き放題に北海道旅行のリクエストを出したのに、ずっと車を運転してくれて。初めましてなのに、いい人だな、というのがつくしへの第一印象でした」

恋人になる前に、現実的な未来の話を

北海道滞在を経て、シオリーヌさんは関東に戻り、すぐに離婚手続きを進めた。8年ぶりにパートナーがいなくなったシオリーヌさんは、自由を楽しむと同時に、今後の恋愛やパートナーシップについて、自分の考えと深く向き合う時期があったと言う。

「当時、自分が27〜28歳くらいで、今後、私は自分の体で妊娠・出産をしたいのかな、とすごく考えたんですよね。妊娠したいのであればタイムリミットもあるので。そうしたら、絶対ではないけれど、もし本当に結婚したいと思う人がいたら、30歳くらいで子どもが持てるようなライフプランにしたいのだなと気付きました。だから、今後お付き合いする人とはライフプランを擦り合わせてからお付き合いしようと決めていました」

そんな中でつくしさんが上京し、2人は再会。パートナーに求める価値観が一致していたこと、ライフプランの擦り合わせができたことで、恋人関係になったという。

「つくしと付き合う前に、共通の友達も含めて3人でご飯を食べたことがあって。そのときに『次に付き合うならどんな人がいい?』という話題ですごく盛り上がったんですよね。つくしが『話し合いができる人』と言っていて、私も一緒だと思ったんです。離婚したときには、話し合いから逃げられて面倒臭がられたように感じて、そんな風に扱われるのは嫌だなと思いました。だから、私も次に付き合うなら、絶対に話し合いから逃げない人っていうのが譲れないポイントでした」

「ライフプランに関しては、つくしは当時まだ23歳だったので、結婚や出産はまだ全然考えていないかもしれないと思っていましただからきちんと話し合いをしておこうと思って私の希望を話したら、つくしも結婚や出産のことも考えて付き合っていくつもりがあると言ってくれたので、それなら付き合ってみようということになりました」

絶対に名字は変えたくない…!

その後、2020年に2人は結婚。結婚には様々な形があるが、2人は法律婚を選択している。結婚に際しても、話し合いがあった。

「法律婚がしたくてもできない人がいるなかで選択できること自体特権だなと思うのですが、正直、私は法律婚でも事実婚でもどちらでもよかったんですよね。ただ、1回手続きの大変さを経験しているので、もう絶対に名字は変えたくないという気持ちがありました。だからもし、つくしも名字を変えたくないのであれば事実婚にしようと思っていたのですが、つくしは自分の名字を変えることに抵抗がないと言っていて。子育てのことを考えても法律婚の方がメリットがあるのではないかというつくしの希望もあって、法律婚をすることになりました。もちろん、つくしの名義変更の手続きは全部一緒にやりました」

その後、2022年には出産を経験。妊娠しやすいかどうかを調べる「ブライダルチェック」を受け、シオリーヌさんが排卵しにくい状況にあったことが分かったため、早い段階から不妊治療を受けたという。

「つくしは自分ごととして向き合ってくれたので、自分ばかりが頑張ることなく、2人で一緒にやっている治療だと感じられました」とシオリーヌさんは語る。出産後の生活においても、家事・育児は2人で共有するものとして向き合っているという。

「私は仕事をたくさんしたいので、産後2ヶ月から仕事に復帰しました。一方でつくしは仕事ばかりではなく家のこともしたい人なので、1年の育休を取りました。私のやりたいことは我慢しないでいいよと言ってくれるので、私自身もやりたいことをやりながら、家事・育児も一緒にやっています。

でも、明確な役割分担があるわけではありません。私の仕事は不規則で、家でできるときもあれば講演会などで出張のときもある。一方でつくしは勤務時間が決まった働き方なので融通は効きづらい。だから、お互いに声を掛け合って、調整しています」

「言いたいことを言える」関係性でいるために

相性ぴったりの2人のように見える。しかし、いざ共に生活したり、子育てが始まったりすると、喧嘩をすることも多々あるという。

「同居し始めたばかりの頃は、小さなことでたくさん喧嘩しました。私はすごく綺麗好きで、家の中の荷物全ての置き場所が決まっているんです。でも、つくしは割と仮の置き場がたくさんあって、いろんなところに物を置くので、それでよくぶつかり合いました。

それに、子どもが生まれてからは余裕がなくて、つくしに優しくできないときが出てきました。もともと、つくしの特性に合ったコミュニケーションをするように工夫していたのですが、子育てが始まってからは、私のキャパシティが子どものことでいっぱいいっぱいになってしまって。これは、ちょうどいまの課題でもあるんです」

そんな風に意見がぶつかったり、関係性がギクシャクし出したりしたときは、どのように話し合いをするのだろうか。

「実は最近、我が家は、月次でミーティングを設定することにしたんですよ。いままでも夫婦で年に1回運営会議をやっていたんですね。でも最近はやっぱり意識しないと、2人でコミュニケーションを取る時間が減ってしまうので、時間を決めて話すことにしました。いま感じているモヤモヤ、家事分担に対して思ったこと、子育てに関する相談とか、思ってることを言っていいよという場を作ったんです。

日常の中でふと意見を言ったりとか、不満を言ったりしたときに、相手にそれを受け取る余裕がないと、大きな喧嘩に発展しちゃったり、ただ話し合いたかっただけなのにすごく相手が不機嫌になっちゃったり、そういうことってありますよね。そうならないように、お互いの関係性を良くしていくための話し合いの機会であることを互いに自覚して、場を設けるのが大事だなと思いました」

そんなシオリーヌさんにとっての、心地よいパートナーシップとは「言いたいことが言える関係」だ。正直な気持ちを打ち明けても、否定されることなく、徹底的に話し合いができるならば、すれ違うことはあっても信頼関係は崩れないという。

「違和感や不満を、自分の中に押しとどめておく必要がない関係性。それを話したとしても、きっと相手も自分の気持ちを大事に扱ってくれるだろうって思える関係性がいいなと思います。自分の思いに同意してもらえなくても、『あなたはそう考えてるんだ』と真剣に受け取ってもらえれば、すれ違いがあっても折り合いをつけていくために誠実に話し合いができると思います。それが、私にとっての心地よさに繋がるかな」

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心地よいはみんな違う。私たちのパートナーシップ【つくしの場合】

 

シオリーヌ
助産師、性教育YouTuber、株式会社Rine代表取締役。総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟にて勤務ののち、現在は学校での性教育に関する講演や性の知識を学べるイベント等の講師を務める。YouTubeチャンネルでは、性の知識を気軽に学べる動画を配信中。
Twitter:@shiori_mw
YouTube:【性教育YouTuber】シオリーヌ

 

取材・編集・文:白鳥菜都
写真:服部芽生