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女性議員はなぜ少ない? 政治分野のジェンダーギャップを考える

国会や企業の役職者の会議をイメージしたとき、どんな風景が浮かぶだろうか?

筆者は、黒っぽいスーツに身を包んだ年配の「男性たち」の集まりを連想してしまう。そこはカラフルではない。ある程度同質性が高いと捉えられる外見・性質をした人々の集う姿が、つい思い浮かぶ。

2024年6月に世界経済フォーラム(WEF)が発表した、2024年度版の「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)(※1)では、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中118位となった。前年の125位からは少し持ち直す結果となったが、この順位は例年と変わらず先進国で構成されるG7の中で最下位だ。

出典:世界経済フォーラム(WEF) Global Gender Gap Report 2024
https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2024.pdf

この報告、毎年世界各国における「経済」「政治」「教育」「健康」の4分野14項目のデータから、男女平等度合いを測るジェンダーギャップ指数を算出し、総合点で順位がつけられる。

なかでも、例年日本が他国の平均から大きく遅れをとっているのが、政治分野における女性活躍の項目である。146カ国中113位という結果で、国会議員や女性大臣の割合が著しく低く、また過去に女性が首相を務めていないことが主な要因だ。教育や健康の分野では比較的高い評価を受けているにも関わらず、政治分野の遅れにより、毎年順位を後ろから数える方が早い状況が続いている。

どうしてここまで、特徴的な状況になってしまっているのだろうか。改めて、日本の「女性と政治」について考えたい。

※1 参照:世界経済フォーラム(WEF Global Gender Gap Report 2024
https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2024.pdf

 

女性の議員数は、30%を超えたことがない

日本において、女性議員の割合は衆議院議員で約11%(51名、2024年5月時点)、参議院で26.4%(65名、2024年6月時点)となっている。2022年7月に実施された参院選では、候補者および当選者いずれの割合も過去最高となった。なかなか高いとは言えない数字であるが、それでも女性議員の数は徐々に増加傾向にあるようだ。

女性の国会議員が初めて誕生したのは、戦後の1946年である。当時は衆議院議席の8.4%を占める、39名の女性議員が誕生した。そこから平成に入るまで約50年間は5%を下回る状況が続き、ようやく10年ほど前から10%に近い数字が見られるようになってきた。

戦後当時と比較すれば、徐々に状況は改善していると言える。しかし2024年を迎えたいまも、こと衆議院における女性議員の割合は10%前後という状況が続いている。80年弱が経過してもなお、女性議員数に大きな変化が見られていない状況を見ると、ジェンダーギャップ指数が低い現状に納得せざるを得ない。

このような状況に対し、政府が何も動いていないわけではない。2018年には「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(※2)が施行され、衆参両院及び地方議会の選挙において、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すことを基本原則とし、各団体が目標数を定めることなどが掲げられた。しかし、この内容はあくまで努力義務にとどまっており、女性候補者の増加など一定の効果には繋がったものの、実効性には欠ける内容だという批判の声も聞かれた。

2021年、諸外国と比較し依然として大きな遅れをとっている現状を踏まえ、この法律の一部が改正された。(※3)改正法では、政党やその他の政治団体がこの課題により自主的に取り組むことを求め、候補者の選定方法の改善などが明記されたほか、セクシュアルハラスメントやマタニティハラスメントに関する対応も示され、少しばかり具体的な対策に近づいたように見える。しかし依然として候補者数の目標設定義務化などは盛り込まれず、罰則が設けられることのない、努力義務の姿勢にとどまった。

2020年に男女共同参画局が定めた「第5次男女共同参画基本計画」では、2025年までに衆参両院それぞれの議員の候補者に占める女性の割合を、35%とする目標値を掲げている。(※4)2022年の参議院議員選挙の女性候補者の割合は33%であり、目標に近い数値になってきているようにも思えるが、その割合は政党によって大きな差がある。

また2021年の衆議院議員選挙では、いまだに候補者の女性比率が20%を下回っていたことを思うと、次の選挙では果たしてこの目標値を達成できるのか、気になるところである。

※2 参照:内閣府 男女共同参画局「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律(リーフレット)」(平成30年5月23年公布・施行)
https://www.gender.go.jp/about_danjo/law/pdf/law_seijibunya04.pdf
※3 参照:内閣府 男女共同参画局「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律(要綱)」(令和3年6月16日公布・施行)
https://www.gender.go.jp/policy/seijibunya/pdf/20210616/02.pdf
※4 参照:内閣府 男女共同参画局「第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~(令和2年12月25日閣議決定)」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/5th/index.html

女性が30%をこえたら、何が変わるのか

先ほどから「30%」という数字を引き合いに出しているが、これは「クリティカル・マス(決定的多数)」と言われる分岐点を指している。

国民の代弁者として政策を検討していく政治の世界では、様々な考え・立場の人間が参加し議論すること、つまり多様性があることが重要なポイントの1つであると言える。しかしながら、ある1人の人間が周りと異なる意見を述べただけでは、あくまで個人の考えと捉えられ、大きなインパクトにつながりにくい。集団の中では、たとえ大人数でなかったとしても、存在を無視できないグループになる分岐点があると言われており、それを指すのが「クリティカル・マス」という言葉だ。

この分岐点は、一般的に全体の30%に達したときであると言われている。政治の世界だけでなく、女性活躍推進の文脈で「30%」という数値が持ち出されることは多く、たとえば経団連の掲げている「2030年30%へのチャレンジ(※5)」(2030 年までに企業の役員に占める女性比率を 30%以上にすることを掲げる取り組み)などもこれに由来すると言えよう。

※5 参照:経団連「2030年30%へのチャレンジ」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2021/030_shiryo.pdf

そもそも、女性が増えると何が良いのか

では、実際に女性が増えた場合、どんな効果があるのだろうか。また、そもそもどうしてジェンダーバランスを意識する必要があるのだろうか。主に以下のような観点から、その意味を理解していきたい。

•女性が必要としている政策の実現性が高まる

子育て関連施策や、男女の賃金格差解消に向けた取り組み、また女性特有の病気へのケアなど、女性であるがゆえに直面する課題への政策について、女性議員が増えることで実現性が高まるということがある。

これは実際の研究結果でも証明されている。あるドイツの研究者は、女性議員の増加が保育サービスの支援拡大につながることを、数値的な根拠を用いて説明している。また、これは単に女性の「数」が増えたことによる賛成票の増加ではなく、女性の議員が増えたことでそれぞれの女性議員が発言する機会が増え、保育サービスに関するテーマが頻繁に議題に上がるようになったという、女性同士の相乗効果ゆえの結果であるとしている点が興味深い。

また、男性が大多数の集団の中では女性は自信を持って発言したり、リーダーシップを発揮したりすることが難しい傾向にあることも同研究結果では述べられており、その点でも議会がどのようなメンバーで構成される場であるかが、重要だということが見て取れる。(※6)

•女性が安心して働ける環境が整い、女性議員数のさらなる増加につながる

たとえば企業でも、女性が少ない状況が続いていくと、女性が働きにくい環境は改善されず、設備、ルール、慣習など何をとっても女性が苦労する状況が継続される。政治の世界においても、女性議員の数が増えていくことで、女性が安心して働ける環境整備につながり、さらに多くの女性議員が政界に入っていくきっかけになっていくだろう。

•より民主的な議論の場が担保される

前に記載した2つの内容とも通じるが、そもそも世の中には様々な人々が生活している。それぞれがより心地よく生きていける社会にするために、議会も多様な人々で構成されるべきである。その観点の1つとして、日本の人口に占める男女の割合はほぼ半々であるのに対し、議会の構成員が男性に偏るということは、適切な、平等な議論がされているとは言い難い。

もちろん、議会の中での「多様性」を考えたときに、女性が増えればそれだけで良いはずはない。多様な立場、考え方の人々が集まってこそ多様性が生まれるのだから、ただ女性を増やすことだけに躍起になることは、正しいとは言えないだろう。しかし、限りなく同質性の高い人々で構成されている現状を変えていくためには、その1歩目として女性の割合を高めていくことが、一助になるとは言える。

※6 参考:VOX EU「Women as policymakers do make a difference」
https://voxeu.org/article/women-policymakers-do-make-difference

女性議員を増やすためのルールは整備できるのか

法律による努力義務以外に、講じられている対策がない日本。ではそれ以外に、何らかルールという側面から、できることはないのだろうか。

そこで参考にしたいのが他国の事例である。「クオータ制」と呼ばれる仕組みが、2020年時点では196の国と地域のうち、118の国と地域で導入されている。(※7)「クオータ制」とは、人種、民族、宗教、性別などを基準に、議員や閣僚などの一定数を、社会的・構造的に現在不利益を受けている者に割り当てる制度をいう。ポジティブアクションの1手法として実施されるもので、1978年にノルウェーで制定された男女平等法から始まり、北欧諸国で広がった。

出典:内閣府 男女共同参画局「諸外国における政治分野の男女共同参画のための取組(令和2年3月作成)」

男女共同参画局が発行する資料では、クオータ制の種類を以下の3つに分類している。憲法または法律で一定のルールを設定しているものだけでなく、政党が自発的に割り当てを決めるかたちで実施している国もあるようだ。それでは、いくつか、具体的な事例を見てみたい。

出典:内閣府 男女共同参画局「諸外国における政治分野の男女共同参画のための取組(令和2年3月作成)」

•フランス(パリテ法)

出典:内閣府 男女共同参画局「諸外国における政治分野の男女共同参画のための取組(令和2年3月作成)」

フランスではパリテ法と呼ばれるクオータ制が2000年に制定された。法的候補者クオータ制と、政党による自発的クオータ制を併用し実施されている。上院議員選挙では、比例代表制部分について候補者名簿を男女交互に記載とすること、下院議員選挙では、候補者が男女同数でない場合その差の割合に応じて政党助成金を減額するなどのルールが制定されている。

また、主力政党も党の最重要事項の1つとしてパリテ(男女同数)推進をアピールしたり、男女平等実現のための諮問機関「女男平等高等評議会」が法改正のための提言などを行い、政府への大きな影響力を発揮したりと、ルールが形骸化せず、全体的な動きとして機能している様子がうかがえる。結果、パリテ法制定直後の2002年には12.3%だった女性下院議員割合は、2020年には39.5%にまで増加している(2024年4月時点では、37.3%、※8)。

•韓国

出典:内閣府 男女共同参画局「諸外国における政治分野の男女共同参画のための取組(令和2年3月作成)」

日本と同様、家父長制文化の強い韓国も2000年にクオータ制を導入し、政治分野における女性活躍が徐々に進んでいる。法律で比例代表候補者名簿の50%を女性にすること(義務)、小選挙区の30%以上を女性に割り当てること(努力義務、達成した政党にはインセンティブあり)、また選挙期間中のハラスメント行為への罰金規定もなどが定められている。

「政治は男性のもの」という意識が強く、これらの法案が通るまでは根強い反対もあったそうだが、社会的な機運の高まりに乗じて女性団体が強く声をあげ、導入に至ったそうだ。結果、クオータ法導入の2000年には5.9%であった割合が、2016年には17%に増加し、その後も法改正を繰り返しながらさらなる増加を目指している(2024年4月時点では、19.2%、※8)。

・北欧諸国

政治分野での女性活躍が顕著な例として、北欧諸国が挙げられる。実際に、2024年のジェンダーギャップ指数・政治分野上位には、アイスランド(1位)、ノルウェー(2位)、フィンランド(3位)と北欧が名を連ねた

しかしこの内フィンランドでは、クオータ制は導入されていない。女性が自然と増えている背景としては、国の成長家庭で男女による役割さが固定されず、女性が各分野に進出した歴史があること、また地方政治では兼業が当たり前など「誰もが政治家になりやすい」風土があることが挙げられるようだ。

このような国もある一方で、日本のようにある程度“男女の役割”の認識が強く根付いている国においては、やはり仕組みの見直しから始めることが大切なのかもしれない。日本でも度々議論には上がっているが、まだ具体的な展望は描かれていないのが現状だ。

企業においても、有価証券報告書において「女性管理職比率」「役員の男女別人数」などの開示が義務付けられており、こういったことがきっかけで企業の女性活躍が進んでいる現状がある。飛躍的な内容でなくても良い。まず可能な形で枠組みを設けるということが、1つ鍵になるのではないか。

※7 政治分野における性別によるクオータ制に限る。
参考:内閣府 男女共同参画局「諸外国における政治分野の男女共同参画のための取組(令和2年3月作成)」
https://www.gender.go.jp/policy/positive_act/pdf/pamphlet_03_07.pdf
※8 参照:列国議会同盟(IPU)“Monthly ranking of women in national parliaments(Ranking as of 1st April 2024)”
http:// https://data.ipu.org/women-ranking/?date_year=2024&date_month=04

意識的に女性を増やした場合、「質」の低下につながるのか

女性議員の増加を主張した際、よく出される議論が「政治家を務められる能力のある人がいれば良いが、『女性』だからという理由だけで一定数を引き上げようとすることが正しいのか」という議論である。

確かに、クオータ制などの仕組みを設け、半ば強制的に女性の人数を増やすことは、能力や意欲のある男性の席を奪うことにつながり、男性への“逆差別”だと感じる意見もあるかもしれない。

また、女性の議員が増えるメリットが「多様性の促進」「女性の観点から必要とされる政策を実現していくこと」であるとする場合、いわゆる“名誉男性”と呼ばれるような、男性的な姿勢で政治活動に臨む女性が増えることで社会が変わるのか、という議論もある。男性社会とされる政治の場において、女性が対等に渡り歩くためには、ある種“冷徹な鎧”をまとうことが求められる現実もあるかもしれず、この意見に対して明確な良し悪しの線引きはできないと思うが、1つ議論の余地がある観点としては述べておきたい。

「女性だから」大変なことはなにか

では、女性が政治の分野に入っていくことを阻んでいるのは、具体的にどのようなことなのだろうか。

・子育て、家庭生活との両立

選挙活動を始め、当選後も議員としての仕事は多忙を極める。そのような中で、子育てや家事などは周りのサポートがないと難しいということは、女性が政治分野で活躍する上でのハードルの1つと言える。また、後援者の中には“24時間・365日働け”というムードがあり、子育てを優先させると誹謗中傷を受けることもあるという意見が聞かれたこともあるようだ。

その他にも、国会における法案の可否を決める投票について、現行ルールの解釈では議会に「出席」し投票することが求められており、それゆえに出産をする議員が産前産後に国会を休むと投票ができないという問題もある。そうなると会期中の妊娠・出産を避ける傾向が高まらざるを得ないだろう。

2022年7月の参議院議員選挙では、次のような例もあった。4歳の子どもを育てる女性候補者が、子どもをおんぶして街頭演説を行ったことが「公職選挙法違反の疑いがある」とされたのだ。

法律では、18歳未満の選挙運動は禁止されている。しかし子どもと一緒にいる状況で演説をした、という状態がそれに該当するのかは解釈が定まっていないようで、注意をされた例もあれば、「おんぶだけでは違反にならない」というコメントが寄せられることもあったそうだ。

このような状況があると、一層子育て中の女性が候補者に名を連ねることのハードルも感じてしまう。一方で、今回の議論はこれまでに類似の例がなかったがゆえにスポットライトが当たった話であるとも言える。そう考えると、徐々に政治分野で女性が活動することのハードルが見える化していくことで、より参加しやすいルールに変わっていくことも期待できる。

・ハラスメント(セクハラ、票ハラなど)の被害

女性へのハラスメントも、大きな問題の1つである。

身体を触る、性的な発言をするといったいわゆるセクシュアルハラスメントの他にも、投票をすることを匂わせ拒否しづらい状況を作り出した上で、候補者に不快な要求を迫る“票ハラ(投票ハラスメント)”と言われる選挙特有のハラスメントも挙げられる。男女共同参画局が、実際に起きた1000件を超える事例を参考に作成したハラスメント防止のための動画教材を見ると、具体的なイメージが湧くだろう。

先に挙げた「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の改正法」では、政党や政治団体などにハラスメント防止のための自主的な取り組みを求めている。しかし実際、各政党が具体的な取り組みをしているかというと、まだ道半ばのようだ。

Business Insider Japanが2022年7月に主要9政党に対し実施したアンケート(※8)では、「セクハラ・票ハラなどを防止するためにどのような取り組みをしているか」という設問に対し、対策委員会や相談窓口を設置しているのは立憲民主党、国民民主党、共産党の3党のみだった。この「相談窓口の設置」は、内閣府が実施した調査でも、ハラスメントをなくすために有効な取り組みとして最も多く挙げられている。

実際にハラスメントの被害に遭ったという議員は女性の約6割、男性も約3割いたという結果と裏腹に、安心して活動を行える環境整備はまだ不十分であることが見て取れるだろう。

・経験の不足や「政治は男性がやるもの」というイメージ

内閣府男女共同参画局が2020年に実施したアンケート(※10)では、地方議会議員を務める男女に「議員活動を行う上での課題」を聞いている。

そこでは、これまで述べてきた「家庭生活との両立の難しさ」や「ハラスメント」などの理由の他にも、「専門性や経験の不足」「政治は男性が行うものだという周囲の考え」など挙がった。これらの結果も、女性議員が少ないという背景を表しているとともに、今後女性が議員として活躍していく土壌が整いきっていないことを示唆する。

こういった現状が徐々に改善されていくことで、現職だけでなく、未来の女性議員の増加にもつながるという構造がよくわかる結果と言えるだろう。

内閣府男女共同参画局「共同参画 2021年6月号 女性の政治参画への障壁等に関する調査研究」を元に筆者作成。「大いに課題である」「やや課題である」の合計、女性の上位12項目の結果
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202106/202106_03.html

9 参照:Business Insider Japan 「参院選で話題の「セクハラ・票ハラ」対策を主要9政党に聞いてみた。一斉アンケートでわかった驚きの結果
https://www.businessinsider.jp/post-256067

10 参照:内閣府男女共同参画局「共同参画 2021年6月号 女性の政治参画への障壁等に関する調査研究」https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202106/202106_03.html

いま改めて、この課題とどのように向き合うか

日本の政治分野におけるジェンダーギャップは非常に大きい。同質性の高い人々の集まりではなく、少しでも多様なメンバーが集い議論する場を議会とするならば、その状況には程遠いという現状が理解できたと思う。

それに対して、女性議員の増加を目指し実効性の高い仕組みが設けられているかというと、非常に曖昧な状況であることもまた、事実だ。各政党の努力義務に委ねられている部分についても、実質的に行動している政党はひと握りであり、まだまだ「本気度」が足りないのが現状と言わざるを得ないのではないだろうか。

そのような国に生活しているいち国民としてできる行動として、まず選挙で投票に行くことがある。その際、多様な人々が生きやすい社会になるために、多様なメンバーが集う議会になるために、いま一度立ち止まり、自分なりに取るべく選択肢を考えていくことが、今後一層重要になるだろう。

また、この現状が変わらない要素の1つに国民や議員たちの「無関心」も挙げられる。現状を認識し、また変えることで生まれるメリットも理解した上で、正しく声を上げていくことも、必要な行動ではないだろうか。


文:大沼芙実子
編集:篠ゆりえ