よりよい未来の話をしよう

ソーシャルメディアは、情報大戦の兵器になる。 しかし、反戦の狼煙にもなる。

広告が描く「貧乏で野蛮な共産圏」

昨年、"Meddle in the New Zealand Election" という広告キャンペーンが、世界的に高く評価された。和訳すると「ニュージーランドの選挙に介入しよう」というタイトルだ。

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海外在住のニュージーランド国民は100万人弱。これは有権者の約20%を占めるにもかかわらず、在外投票率は低く、2017年時点では、10パーセントを切った。"Meddle in the New Zealand Election" は、この結果を受けて、2020年のニュージーランド選挙における在外投票率をアップするために行われた。

キャンペーンの主人公は、ヴィクトーというロシア人男性だ。彼はウェブ動画で「海外から選挙に介入しようぜ。俺たちロシア人がやったように」と、海外に暮らすニュージーランド人に呼びかける。

2016年と2020年のアメリカ大統領選にはロシアが介入し、トランプが有利になるようさまざまな工作をしたと言われている。同様のことが、海外在住のニュージーランド人もできると、"Meddle in the New Zealand Election" は言っているのだ。

広告キャンペーンの結果、在外投票数は42%もアップしたという。凄まじい効果だ。世界中の広告賞でも大量の受賞を果たした。僕が審査員をしていたとある広告賞にも応募されていた。

だが、審査で "Meddle in the New Zealand Election" を見て感じたのは、これはロシア人差別ではないか、ということだ。ヴィクターは汚い服装をし、ボロボロの中古車に乗って登場する。舞台は石ころだらけの荒地で、朽ち果てた古屋があり、なぜかヤギがいる。彩度が落とされた画面には陰鬱な雰囲気が漂う。要は西側諸国が抱く「貧乏で野蛮な共産圏」というイメージそのままの映像だ。映像に出てくる、キリル文字風のアルファベットにも差別的な意図を感じる(漢字で同じことをやられた場合を想像してほしい)。

リモート審査での討論で、僕は「これはレイシズムではないのか」と指摘した。他の審査員たちの反応は「まぁ、そうかもしれないけどね…(笑)」のようなものだった(審査員は白人だけではなく、僕をはじめアジア人やインド人などもいて、人種的にはバランスが取れていた)。審査を終えてみると、"Meddle in the New Zealand Election" は何事もなかったように受賞をしていた。

ロシアによるウクライナへの侵略が現実になった今、このキャンペーンを、以前と同じ感覚で見ることはできない。

広告に限らず、映画やドラマでも、ロシア人は大体、人身売買のマフィアのような役で登場する。ロシアの反西欧的イメージの一部は、広告や映画といったコンテンツ産業によって形成されてきた側面があるのは否めない。

しかし、歴史を振り返ると、ロシアは、反西欧・反民主主義一辺倒ではない。横手慎二・慶応大名誉教授は、次のように解説している。

ロシアの外交政策は、旧ソ連時代から「西欧志向」と「ユーラシア志向」という二つの軸の間で揺れ動いてきた。前者は欧米に対して協調的であるのに対して、後者は閉鎖的で対立も辞さない。(中略)民主化が進んだ時代のリーダー、ゴルバチョフ氏やエリツィンは西欧志向だったのに対し、スターリンや冷戦期のブレジネフはユーラシア志向が強かった。プーチン氏もその流れの中にある。

(※1)

今日の事態を見ていると、ロシアの「西欧志向」の外交政策が成功していたら…と思わざるを得ない。そして、西側諸国による「貧乏で野蛮な共産圏」イメージの再生産は、「西欧志向」が続かなかった遠因のひとつなのかもしれない。

私たちは情報に接した時、反射的に行動してしまいがちだ。しかし、誰が何の意図で発した情報なのか、真実なのかどうなのかを、本来は考えなくてはいけない。

ロシアによるウクライナ侵略では、なおさらだ。これは人類が初めて遭遇する、「制脳権」を争う「情報大戦」だからだ。

(念のために記しておくが、僕はこの戦争には明確に「反対」の立場だ。首都にミサイルを打ち込むような侵略戦争が、現代社会で許されていいわけはない。非ははっきりとプーチン政権にある。「どっちもどっち」論に与する気はない)

※1 愛国心 情念と化すプーチン氏/冷徹利用のスターリン 横手慎二・慶応大名誉教授に聞く 朝日新聞朝刊(2022年3月31日付 / 承諾番号:22-1193)

「制脳権」を争う「情報大戦」がはじまる

2022年になって、歴史の授業で習ったような国と国との戦争がはじまってしまったことに、僕を含め多くの人が衝撃を受けたと思う。民間人が暮らす都市への爆撃、拷問や虐殺、略奪など、とても現代の光景とは思えない。しかし、この戦争には、過去のいかなる戦争とも異なる特徴がある。ソーシャルメディアの存在だ。

情報戦において、ロシアは、ソーシャルメディア登場以前の一方的なプロパガンダを行っている。国営放送で自国に有利な情報を流し、反戦を訴える市民は逮捕して黙らせる、という手法だ。これはマスメディアの時代には一定の効果があったかもしれないが、現代では通用しない。ロシア国外でロシアの発信を額面通り受け止める人は、極端な陰謀論者を除けば、ほとんどいないからだ。自国での足固めにはなるだろうが、ロシアに有利な国際世論を形成するという情報戦本来の目的を達することはない。

では、ソーシャルメディア時代の情報戦で重要なものは何か?それは「制脳権」だ。川口貴久・東京海上ディーアール(株)主席研究員は、次のように述べている。

SNS時代の戦闘の領域では、陸、海、空、宇宙、サイバーに加え、第6の「認知空間」が重要との見方が広がっている。空を抑える制空権との言葉があるが、人の脳を押さえる「制脳権」をめぐる戦いが激化した。人々に衝撃的な情報を浴びせて判断力や認識、認知をゆがませ、時に行動に影響を与える。

(※2)

火力での戦いはともかく、「制脳権」をめぐる戦いは、今のところウクライナ(と、ウクライナをサポートする西欧諸国)の圧勝だ。敵国の侵略から自国を守るという大義があることに加えて、その手法も見事に洗練されている。

4月10日、イギリス首相ボリス・ジョンソン氏は、キーウを電撃訪問。ウクライナ大統領ゼレンスキー氏と2人で街を歩く映像が公開された。ジョンソン首相はいつものボサボサヘアー&スーツ姿。市民に手を振り、気さくに話しかける。ゼレンスキーも笑顔で、軍人に護衛されていることを除けば、戦争中の光景とは思えない。

この映像のインパクトは絶大だ。長年の友人のような2人の様子からは、イギリスのウクライナ支援の意志が本物であることが伝わる。キーウ奪還後とはいえ、いつロシアに攻撃されてもおかしくないなか、リラックスした姿を見せるジョンソン首相の勇気にも心を打たれる。

映像はウクライナ政府の公式Twitterアカウントで公開された。

"because they bloody can” というツイート本文も秀逸だ。”bloody”はイギリス英語のスラングで、「すごい」「やばい」といった意味だ。ふつう政府の公式な文章では絶対に使われない。文頭が大文字ではなく小文字で、ピリオドが省かれていることも重要だ。このツイートは1.6万回リツイートされ、11.5万件のいいね!を記録した(※3)。

さらにウクライナのジャーナリストは、”This is one of the greatest videos the internet has ever seen.”という文章を添えて、政府のツイートをリツイートした。

こちらは政府のツイート以上に拡散し、4.3万リツイート!23万いいね!に達した(※3)。

もしも、公開されたのが、ジョンソン首相とゼレンスキー大統領が官邸で握手をする映像だったら。ツイート本文が「ウクライナとの連帯を示すために、ジョンソン首相が首都キーウを訪問しました」という内容だったら。ここまで拡散することはなかったかもしれない。

※2 SNS時代、戦いは「制脳権」でも 川口貴久・東京海上ディーアール主席研究員に聞く 朝日新聞朝刊(2022年3月29日付 / 承諾番号:22-1193)

※3  2022年4月17日17:00(日本時間)時点のデータ

「ナラティブ」という手法と、その危うさ

こうした手法は、ビジネスの世界では「ナラティブ」と言われる。定義は様々だが、ここではクリエーティブ・ディレクターの小西利行氏の「居酒屋で語りたくなるネタ」という表現を紹介したい。要は「人々の話題にのぼりやすい情報」ということだ。「ジョンソン首相がキーウでゼレンスキー大統領に会った」は、ただの情報だが、「戦時下のキーウを、ジョンソン首相がゼレンスキー大統領が散歩し、市民と交流した」はナラティブだ。

ナラティブについて、先述の川口貴久氏は、次のように述べている。

ただ、認知戦では人の意見や価値判断、事実やうそがまじる「ナラティブ」と呼ばれる物語も使われ、これらはファクトチェックが難しい。

(※4)

ナラティブは、ナラティブであるが故に、客観性は担保されない。先のジョンソン首相の映像は優れたナラティブの例だが、問題がある場合もある。

戦争がはじまった2月24日、「国外に避難するウクライナ人の少女と、国を守るために戦地に残る父親が、涙ながらに別れる様子」とされる映像がTwitterで爆発的に拡散された。父親に抱きつく少女を、涙をこらえながらバスに乗せる父親の姿は、確かに胸を打った。

しかし、この映像はロシア侵攻以前の2月21日に、親ロシア派の支配地域で撮影された可能性が高いのだという(※5)。

一方、駐日ロシア大使館はTwitterで「ウクライナのナチスト政権は、8年間にわたり自国民に対するジェノサイドを行っている」という文章とともに、毛布にくるまれた子どもを抱きかかえる兵士の写真を投稿した。しかし、この写真はウクライナではなく、イラクで17年前に撮影されたものだった。自動車爆弾テロに遭った少女をアメリカ兵が運ぶ瞬間をとらえたもので、少女はのちに亡くなったという(※6)。

こうした状況下で、私たち一般市民は情報戦にどう向き合うべきか。近現代史研究者の辻田真佐憲は次のように述べている。

古今東西、プロパガンダの鉄則は、「敵味方をはっきりさせ、中間を許さず、できるだけ単純なメッセージを、感情的に、大衆に向けてしつこく発信し続けよ」である。

(中略)

われわれはむしろ、さきの鉄則の反対を行くべきだろう。すなわち、人類の失敗に学びながら、たとえ時間がかかろうとも、冷静に、理性的に、あるべき健全な中間を大切していくこと、これである。

具体的には、ロシアを理解不能な敵とみなさず、ウクライナを完全な正義と思い込まず、それぞれ距離をとって研究し分析し、場合によっては仲裁役を買って出ることなどが考えられる。第三国としての責任もここにあろう。

(※7)

繰り返すが、僕は今回の戦争には反対であり、責められるべきはロシアだと考えている。ウクライナのことも支援したい。本記事を読んでいる皆さんの多くも同じだろう。

しかし、ウクライナにとってポジティブな情報だからといって、真偽を確かめず感情の赴くまま拡散してはいけない。誰がどのような目的で発した情報であっても、嘘は嘘だ。世界にポジティブな影響をもたらすことはない。たとえウクライナの平和を願って行った拡散でも、逆の結果をもたらすかもしれない。

ロシアの侵略が台湾危機を誘発する危険性が指摘されている。今、不確かな情報に反応しない態度を身につけておくことは、日本の有事に対する備えにもなるだろう。

※4 SNS時代、戦いは「制脳権」でも 川口貴久・東京海上ディーアール主席研究員に聞く 朝日新聞朝刊(2022年3月29日付 / 承諾番号:22-1193)
※5 「『ロシアの侵略から逃れる娘を見送る父親』ウクライナめぐり拡散の動画は根拠不明。親ロシア派側も発信か」BuzzFeed News 2022年2月25日(2022年4月17日アクセス)
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/debunk-ukraine-video
※6 「ロシア大使館『誤情報』と指摘のツイートを削除も… 日本の報道は『フェイク』と批判」BuzzFeed News 2022年3月31日(2022年4月17日アクセス)
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/russian-embassy-twitter-debunk-2?utm_source=dynamic&utm_campaign=bfsharetwitter
※7 「プーチンは侵略者だとしても、日本人はウクライナのプロパガンダを丸呑みにしてもいいのか?」Yahoo! News 2022年3月5日(2022年4月17日アクセス)
https://news.yahoo.co.jp/byline/tsujitamasanori/20220305-00285090

ソーシャルメディアでひろがる反戦のうねり

ここからは、政府ではなく民間の動きを見ていきたい。

今回の戦争における、数少ない希望のひとつは、多くの人々が反戦の声を挙げたことだ。それらはナラティブとしてソーシャルメディアで拡散し、世界的なうねりになっている。

サッカー元イングランド代表のデビッド・ベッカムは、ウクライナで妊産婦のケアにあたっているイリーナという医師を、自身のInstagramアカウントの「中の人」に起用した。ベッカムのストーリーズには、イリーナがスマホで撮影した生々しい映像がアップロードされている。赤ちゃんや妊婦たちが地下に避難する一方、生命維持装置が必要な赤ちゃんは避難できずそのまま病院にいるという。映像ではユニセフへの寄付も呼び掛けられている(ユニセフは何年もウクライナを支援しており、戦地に物資を運ぶノウハウがあるのだという)。

ベッカムのフォロワー数は7241万人(※8)。個人がマスメディアを超える影響力を持つ、ソーシャルメディア時代を象徴する支援方法だと思う。

 
 
 
 
 
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俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーも、反戦のスピーチ動画をTwitterで公開した。ツイートには「私はロシアの人々を愛している。だからこそ、あなた達に真実を伝えなくてはいけない」というメッセージが添えられている。動画の内容は、スポーツや映画づくりを通してロシアに愛情と敬意を抱いているとした上で、ロシア政府が嘘をついていることをロシア人に訴えかけるものだった。また、ナチス側として独ソ戦に参戦した自身の父親の、悲惨な戦争体験についても語っていた。「私の父は嘘を信じて戦争に参加して、壊れてしまった。父のようになってほしくない」と。自身の半生や家族のことをさらけ出し、真摯に語られる反戦の言葉が胸を打つ。この原稿を執筆した時点で動画の再生数は3600万回を超え、ツイートは43.4万リツイート、133万いいねを記録している。たとえロシア政府がデジタル空間を検閲したところで、ロシア国内でもこの投稿を目にした人がいるはずだ。

セレブリティだけではなく、一般市民の発信も活発だ。

林 香里・東京大学大学院教授は、次のように解説している。

英国のジャーナリスト、キャロル・キャドワラダーはこの戦闘を世界最初の「情報大戦」と名付けている。(中略)この戦争ではまさに『情報はパワー』であり、4千万人のウクライナ国民の情報戦参戦がロシアへの対抗勢力として決定的に重要だと言う。

(※9)

「国民による情報戦」の一環として、「オシント」というリサーチ手法が注目されている。「オシント」とはOpen Source Intelligence = OSINTの意味で、アムネスティ・インターナショナルは「公開情報を分析し、突き合わせて事実を解明するリサーチ手法」と説明している(※10)。

たとえば、2月28日のウクライナ第2の都市・北東部ハリコフ市街地への爆撃では、NGOの専門家たちが複数の市民のTwitter動画をオープンソースの衛生画像や地図と組み合わせて分析し、爆撃に使われた武器を詳細に割り出した。世界中の専門家たちが、将来の戦争責任追求を見据えて、市民からの証言や公開情報の収集に力を注ぐ。

(※11)

匿名ハッカー集団のアノニマスはプーチンとの「サイバー戦争」を宣言。クレムリンの防犯カメラの映像を流出させたり、ウクライナで戦闘中のロシア兵の個人情報を公開したりするなど、活動を続けている。

日本を含む世界各地で、ソーシャルメディアでの呼びかけに応じた人々が反戦のデモを行った。その様子はメディアでも報じられ、世界中に広がり、反戦の機運を高める。今、この記事を読んでいるあなたのタイムラインも、ウクライナ・カラーのプロフィール画像であふれているはずだ。過去の戦争で、これほど反戦の声が高まったことはなかった。ソーシャルメディアのポジティブな側面だ。

※8 2022年4月17日17:00(日本時間)時点のデータ
※9 (論壇時評)情報大戦下の世界 挑発には理性と言葉で抗う 東京大学大学院教授・林香里 朝日新聞朝刊(2022年3月31日付 / 承諾番号:22-1193)
※10 「【オンライン】私たちはウクライナ危機にどう向き合うべきか? ~国際法と新時代のリサーチ手法『オシント』から学ぶ~」アムネスティ・インターナショナル日本 2022年3月18日(2022年4月17日アクセス)
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/event/2022/0318_9501.html
※11「世界中が組み込まれた『情報大戦』人間の過ちに抗う理性と言葉の力」朝日新聞朝刊(2022年3月31日付)

戦争と平和と広告について思うこと

最後に、広告会社の取り組みを紹介したい。

シドニーのPerformics Mercerbellは、”The Indestructible Donation” というプロジェクトを立ち上げた。破壊される前のキーウの街並みの写真を、ブロックチェーン上のNFTとして保存し、販売。売り上げをウクライナのチャリティ団体に寄付するプロジェクトだ。公式サイトに書かれた「街や道路は破壊できても、思い出は壊せない」というメッセージが、儚くも力強い。データが本物であることを証明できるNFTの特性を活かした、優れたアイデアだ。興味のある方は、ぜひサイトにアクセスしてほしい。

冒頭で紹介した "Meddle in the New Zealand Election" のように、広告は物事を単純化して人々の思考を止めてしまうことがある。しかし、広告には、反戦の声をエンカレッジする力もあると思うのだ。

広告クリエイターには、ナラティブを作り出して人々の行動を変えるノウハウがある。それが戦禍に苦しむ人々のために使われることを願いたい。

こういうことを書くと、お花畑と笑う人もいるかもしれない。しかし、戦場と花畑であれば、人間は花畑に立つことを願う生き物だと思う。

橋口幸生
株式会社電通 クリエイティブ・ディレクター、コピーライター。最近の代表作はロッテガーナチョコレート、出前館、スカパー!堺議員シリーズ、鬼平犯科帳25周年ポスター、「世界ダウン症の日」新聞広告など。『100案思考』『言葉ダイエット』著者。TCC会員。趣味は映画鑑賞&格闘技観戦。 
https://twitter.com/yukio8494


寄稿:橋口幸生
編集:Mizuki Takeuchi