あしたメディアでは、「わたしと選挙」を考えると題し、異なる職種、でもひとつの社会に暮らす方々に想いを寄せてもらった。
2022年7月10日、参議院議員選挙投票日。
あなたは何をして過ごしただろうか。
何を思っただろうか。
そして、何を話しただろうか。
連載最終回となる今回は、フォトグラファーの花盛友里さんにコラムをいただいた。ひと時の現実を切り取る「写真」を通して感じる社会、政治、そして選挙とはどんな姿だろうか。
「あー今回の選挙は本当にみんなが行ったはずだぞ!
こんなに盛り上がったんだもの!!!!」
前回、2021年10月にあった衆議院議員選挙の時も同じことを思って、
同じように落胆した人は多かったんじゃないだろうか。
2022年7月の参議院議員選挙の投票率は、52.05パーセント。
前回の参議院選挙の時よりも上がったとはいえ、半分か。
私の周りは、みんな選挙の話をして、いろいろ考えていたし、
「選挙に行こう」と有名人を含め大勢の人が言っていたにもかかわらず、この結果だ。
これがいまの日本の現実だろう。
でも何を隠そう私だって、昔は政治や選挙になんの興味も無かった。
20代の頃にバックパッカーをしていて、いろんな国を訪れ、いろんな国の若者たちと出会うなかで、彼らが当たり前に政治の話をしていて、衝撃を受けたものだ。
「で、日本はどうなの?」
そう聞かれても何も答えられない。
このことで初めて、どれだけ政治に無関心であったかを、
そもそも、無関心であることにすら気がついていなかった自分を知った。
これじゃあかん!自分の国がどうかぐらい話せないと恥ずかしい!
でもなぜか日本では政治の話をするのはカッコ悪いみたいな風が吹いていて、話しにくかった。
そんな雰囲気なんか気にせず、私が政治の話をするようになったのは、子どもが産まれたから。
子育てをするなかで、「こんな世の中じゃ心配だ、いやだ!」というキモチが強くなっていって、
自分が言いたいことがはっきりした。
というよりも、言わずにはいられなくなった。
私が一時期仲良くしていた近所の86歳のおじーちゃんと話していた時。
じーちゃんは、
「今の政治は第二次世界大戦の時の政治に似ているから怖い」
って言っていた。
ちょうどその時は、「集団的自衛権の憲法解釈変更」の話があったり、
「自衛隊基地に潜入!」という番組が増えたり、日本の軍事力を称賛するような(そう見える)
雰囲気が漂っていた。
じーちゃんと私は違う人生を歩んできたし、
じーちゃんが言いたかった事は理解できなかったかもしれないけど、
それでも言葉にして、話すことで、政治の、つまり生活のいろんなことに目がいくようになった。
今回の選挙は終わったけれど、“その後”をきちんと見守ることこそ大切だと思う。
だって、選挙は「終わり」じゃなくて、政治の「始まり」だから。
政治の話への免疫をみんなでつけていこう。
まずはそこから。
怖がらず、恥ずかしがらず、馬鹿にせず。
ただ当たり前に、恋話をするように政治の話を友達と一緒にすること。
SNSで発信すること。
誰かが変わること、誰かが変えてくれること、を待つんじゃなくて、まずは自分から。
近くの人と話すこと、考えることから。
“選挙や政治の話がタブー”な当たり前をどんどん変えていこう。
だって、これからを生きていくのは私たちなのだから。
花盛友里
大阪府出身。2009年にフォトグラファーとして活動を開始。雑誌や広告を中心に活躍中。2014年に『寝起き女子』、2017年『脱いでみた。』を発表。女の子の「ありのままの姿」を切り取った作品で注目を集める。2020年に『脱いでみた。』シリーズ第2弾となる『NUIDEMITA-脱いでみた。2』を発表するなど作品づくりを続けている。2021年にアンダーウェアブランド「STOCK」を立ち上げるなど、幅広く活躍。二児の母。
写真・文:花盛友里
編集:おのれい
(注)本コラムに記載された見解は各ライターの見解であり、BIGLOBEまたはその関連会社、「あしたメディア」の見解ではありません。