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癒し整う働き方 BIGLOBE温泉ワーケーションin伊東温泉

ビッグローブ株式会社(以下、BIGLOBE)では、温泉地でワーケーション(※1)を行う「温泉ワーケーション」の取り組みを積極的に実施している。BIGLOBEがポータルサイト「ONSEN WORK」を通じて推進する温泉ワーケーションは、日本古来の湯治(とうじ)(※2)で心身を癒し整え、働きながら健康になることを目指す新しいワーケーションのカタチだ。今回は、温泉ワーケーション実証実験に参加したBIGLOBEの社員2人にお話を伺いながら、その様子をお届けする。

※1 「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を掛け合わせた造語で、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごす新しい働き方。
※2 日本に古くから伝わる治療法であり、温泉を休養・保養・療養の場として長期滞在し、入浴すること。

働く場所を、温泉旅館へ

今回、温泉ワーケーションが実施されたのは、静岡県伊東市。伊東市といえば、海が近く、温泉を楽しむことができ、なおかつ都心からのアクセスも良い人気の観光地だ。宿泊したのは「ラフォーレ倶楽部 伊東温泉 湯の庭」という伊東駅から徒歩8分の場所にある趣深い和モダンの宿で、館内にはWi-Fiが整備されている。温泉ワーケーションに参加したのは、BIGLOBEの岸田有里彩さんと河野菜月さん。午前中は自宅で在宅勤務を行い、お昼から新幹線で伊東に移動、1泊2日の温泉ワーケーションに参加した。ワーケーションにはリフレッシュ効果、ストレス低減などの効果があると言われているが、実際に温泉ワーケーションを体験したお2人はどのように感じたのだろうか。

リモートワークという新たなワークスタイル

忙しく働く現代人に「癒し」を提供する温泉ワーケーション。岸田さんと河野さんが普段どのような働き方をしているのか話を伺った。

まず、お2人の普段の働き方について教えてください。

河野さん:わたしはほぼ100%リモートワークです。会議もオンライン会議が多いので、1日家から出ないことも結構多いですね。

岸田さん:わたしは月1回ほどの頻度で出社していますが、それ以外は在宅で仕事をしています。河野さんと同じく、会議は基本的にオンラインで、多いときは1日に3、4時間、少ないときは1時間ほど会議をして、会社の人とコミュニケーションを取っています。

コロナ禍で浸透した「リモートワーク」という働き方について、どのように感じていますか?

岸田さん:リモートワークには様々なメリットがあると思います。たとえば、相手の表情が見えない状態だと顔色を伺ったりなどの心理的な負荷がかからなくなったので、わたしは上司に話しかけやすくなりました。それから、通勤のストレスがなくなったので、心に余裕ができて視野が広がった気がします。

河野さん:わたしは部署の異動直後にリモートワークになったので、最初の頃はちょっとした業務の相談がしづらいなと少し不便に感じていました。でも今は結構慣れてきて、むしろ効率的に進められていますね。ただ、リモートだと雑談がしにくいので、一緒に働く人たちの人柄を知る機会が少ないと感じます。今回のワーケーションのような企画で、会社の人と外に出てコミュニケーションをとる機会が増えるといいなと思います。

伊東で過ごす、1泊2日の非日常体験

普段ご自宅でリモートワークをされているお2人ですが、場所を変えて伊東でワーケーションをした感想について教えてください。

岸田さん:ちょうどお昼の時間帯に伊東に移動したので、新幹線の中でご飯を食べるのも小旅行気分を味わえてよかったです。伊東はあまり東京から離れていないので乗る区間としては短いと思いますが、電車から海も見えますし、旅で感じるような楽しさやワクワク感がありました。

河野さん:わたしは自然が好きなので、伊東に着いたときに鳥の声が聞こえてきて心が安らぎました。自然や温泉に癒されながら仕事の環境があるというのは、心も体もリラックスできますよね。自宅で黙々とルーティンワークをしていると閉塞感を感じて気分が沈んでしまうこともあるので、今回伊東にきて、シャキッと気持ちを入れ替えられた気がします。

岸田さん:そうですね。自宅は閉鎖空間なので、河野さんが言ったように、自然が見渡せる環境で「非日常感」を味わうことができたと思います。今回泊まらせていただいた宿は、部屋にも温泉がついていたので、流れる水の音が聞こえてくるのも心地よくて癒されました。

河野さん:それから、こんなに光を浴びて緑を見ながら仕事をすることはなかなかないので、四季を感じることができて気持ちよかったです。

岸田さん:仕事をしているのに、していないような不思議な感覚がありました。私は畳の部屋とベッドルームのデスクと両方で仕事をしたのですが、気分が全然違いました。ベッドルームのデスクは自分の部屋に近い感覚で、畳の部屋で仕事をするとやっぱり温泉に来ているなという感覚でリラックスして仕事ができました。自由に場所を変えて普段と違う環境で仕事ができるのは、ワーケーションのメリットだと思います。BIGLOBEにはコミュニケーションスペースという場所があって、気分を変えたい時や集中したい時にコミュニケーションスペースに移動して業務ができるのですが、それに近いものを感じました。ワーケーションはより自由に場所を変えて仕事ができるので、さらに気分転換ができたように感じます。

河野さん:わたしは家や会社以外で仕事をするのが初めてだったので、外でも集中してちゃんと仕事ができるんだなと思いました。会社に許可をもらってワーケーションに来させてもらっているので、「いつもより良いアウトプットが出せるように頑張ろう!」という気持ちがあったのかもしれません(笑)。

岸田さん:そうですね。あとは、「18時からご飯だからそれまで頑張ろう」とか「温泉があるから、それを楽しみに仕事しよう」といった気持ちが芽生えて、うまくスイッチを切り替えながら仕事ができました。

今回宿泊した温泉付きプレミアルーム

岸田さんと河野さんは入社同期とのことです。今回同期と一緒に温泉ワーケーションに参加された感想はいかがですか?

岸田さん:同期と参加することができてすごくよかったです。入社1年目から一緒に仕事をしている仲間とお互いに意見交換ができるのは楽しいですね。

河野さん:普段は部署が違うので仕事をしている姿を見ることがないですし、在宅だとお互いが何をしているのかがもっと見えないので、今回のワーケーションでは同期が仕事をしている姿を見て良い刺激を受けました。

岸田さん:今回は同期と参加しましたが、ほかの会社の人たちと参加しても面白いと思います。プライベートで会社の人と出かけましょうというのは少しハードルが高い気がするので、ワーケーションという制度を使うことで、そこまでハードルも高くなく、お互いのことを知る良いきっかけになるのかなと思います。

河野さん:温泉に入って夜ご飯も一緒に食べて、業務中には話さない仕事の価値観や考え方などを話す機会があると、お互いの距離を縮められる気がしますよね。

心に安らぎ、体に癒しを。温泉ワーケーションの効能

実際に温泉ワーケーションを体験してみて、「温泉地」でワーケーションをすることの魅力は何だと思いますか?

岸田さん:やっぱり温泉に行くとゆったりできるというところが1番の魅力だと思います。仕事で煮詰まったときや疲れを感じたときに、温泉に入って頭の切り替えができる。それから、温泉は健康や美容にも良い効果があると思うので、仕事に行きつつ、体の調子も整えることができるのが温泉ワーケーションの魅力ですね。

河野さん:今回は部屋にも温泉がついていたので、リフレッシュしたいと感じたら、休憩時間に温泉に入れて良かったです。

岸田さん:複数人でワーケーションに来ているなら、一緒に大浴場に行ってコミュニケーションをとったりするのも楽しいですよね。

河野さん:うんうん。今回の宿は足湯もあったので、仕事がひと段落したあとに岸田さんと足湯に行ったりしました。足湯に浸かって外の空気を吸いながら気分転換できるのも温泉ならではの魅力だと思います。温泉で疲れをとってリフレッシュできると、「明日から頑張ろう!」という気分になりますよね。活力が沸くというか、仕事をもっと頑張ろうという気持ちになります。在宅勤務でモチベーションを保ち続けることはなかなか難しいのですが、温泉ワーケーションに参加して仕事へのモチベーションを上げることができたと思います。

温泉ワーケーションが会社の制度であったら、また利用したいですか?

岸田さん:ぜひまた利用したいですね。今回は1泊2日だったので、次はもう少し長く滞在できたら嬉しいです。移動の時間もあるので、仕事が終わった後にちょっと街に出て観光したりする余裕があると、よりリラックスできるかなと思います。

河野さん:そうですね。1泊2日だと少し短く感じたので、2泊以上あるとワークとバケーションの両方をより堪能できる気がします。それから、わたしの仕事は世の中のトレンドをキャッチしてメディアに反映させることが重要なので、今回のように外に出てアイデアをキャッチできる機会があると嬉しいですね。やっぱり家の外から出ないと世の中の雰囲気を感じられないので、ワーケーションが会社の制度としてあるのはすごく良いなと思います。

岸田さん:地域ごとに街の雰囲気や流行っているものも全然違うと思うので、ワーケーションを通じてさまざまな場所に行けたらたくさん刺激を受けそうです。あとは、社会人になるとどうしても旅行に行ける日程が限られてしまうので、仕事をしながらもさまざまな時期に日本各地に行けるのは単純に嬉しいですね。

河野さん:そうですね。仕事をしていると旅行をするのは土日になるので、今回は平日に温泉に来ているという特別感がありました。休日よりも空いていてゆっくりできるし、このようにワーケーションでいろんな人たちが平日に宿を利用してくれたら、温泉地も盛り上がって地域活性化に繋がるのではないかなと思います。

岸田さん:温泉ワーケーションは、働く人にとっても温泉地にとっても、いい効果が生まれると思います。今回は月曜日、火曜日のワーケーションだったので、「今日は月曜日か…」みたいな憂鬱な気分もリセットされて、普段の月曜日とは全然違う気持ちで仕事ができました。とてもリラックスできて仕事へのモチベーションもあがったので、明日からもまた頑張れそうです。

日本古来の湯治で心も体も癒し整える温泉ワーケーション。社員が健康でイキイキと仕事をするためには、働き方の自由度を向上させるだけでなく、普段の生活から少し離れた「非日常感」を味わうことも必要なのかもしれない。ニューノーマルな働き方が注目されるなか、温泉大国の日本で古くから愛されてきた風情を楽しみながら仕事をする「温泉ワーケーション」という働き方を検討してみるのはいかがだろうか。


取材・文:篠ゆりえ
編集:竹内瑞貴
写真:服部芽生