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ルッキズムとは?見た目主義の現代社会とその影響を解説

ルッキズムとは?外見重視の風潮とそれに立ち向かう方法を解説

ルッキズム(Lookism)とは?

ルッキズムとは、見た目や容姿を意味する「Looks」と主義を意味する「ism」を組み合わせた造語である。日本では「外見至上主義」と訳されており、他者を見た目で評価し、差別することとされる。

ルッキズムの歴史

ルッキズムという言葉は1969年アメリカで発生した「ファット・アクセプタンス運動」(※1)の中で表現されたことが始まりだとされている。学術研究やメディアでは2000年頃から広く使われるようになった。ルッキズムという考え方そのものは、女性差別や障がい者差別などを筆頭に様々な差別に内包されてきたこともあり、単なる「外見差別」という言葉に収まらないことも理解しておきたい。(※2)

ルッキズムの具体例

ルッキズムを肯定するような環境を築かない

具体的にどのようなことがルッキズムとされているのか。

顔採用」という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。容姿に対して一定の基準を設けて、その基準を上回る容姿を持つ人のみを採用するというものだ。仕事をする上では関係のない容姿を理由に優劣をつけるこのような行為は、ルッキズムの代表的な例である。

また2021年東京五輪の開閉会式の企画・演出責任者が、起用予定であるタレントの見た目を揶揄したことで辞任したという事案も記憶に新しい。このことがきっかけでルッキズムという言葉を知った人もいるだろう。(※3)

このような社会問題もさることながら、親族や友人など親しい間柄の発言でもルッキズムは散見される。例えば「美人でスタイルもいいし、人生勝ち組だね」というような一見褒めているような発言であってもルッキズムになる。これは本人に対しては、内面に目を向けず、外見だけで判断する行為になる。加えて「美人でスタイルのいい人以外は、憧れないし、劣っている」という逆説的な構造のルッキズムもある。

良かれと思って発した言葉で相手を一定の型にはめてしまい、その型にはまり続けなければならないという気持ちにさせてしまう。これは無意識下で偏った見方を押し付け、ネガティブな感情を抱かせる、いわゆるマイクロアグレッションとも関連付けられる。さらには、その人を容姿でしか評価していない、ということにもなりかねない。  

※1 用語:肥満差別廃絶のための民権運動。太っていることをよしとしない社会への対抗のために生まれた。※2 参考:西倉 実季,堀田 義太郎「現代思想 2021年11月号 特集=ルッキズムを考える ルッキズムを考える外見に基づく差別とは何か『ルッキズム』概念の再検討」( 2021年、青土社)
※3 参考:「五輪開会式の演出統括役が辞任 女性タレントの容姿侮辱」日本経済新聞(2021年3月18日公開)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG17BUA0X10C21A3000000/

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ルッキズムと現代社会の関係性

ルッキズムは現状どのような形で社会に存在しているのか。またどのような場面で遭遇しやすいのだろう。

SNSとの関係性

ルッキズムを加速させている原因の1つに、SNSがあることは想像しやすいだろう。何気ないセルフィー(自撮り写真)や服装の写真など、日常的な投稿のコメント欄にも、容姿に関するいわれのない誹謗中傷が投稿されて問題になっている。

2010年以降爆発的に普及したSNSに対する法制度は、度々話題に上がることはあるが、未だ整い切っていないのが現状だ。依然として誹謗中傷した相手が罪を問われづらい現実もルッキズムを加速させている原因の1つかもしれない。

職場や学校との関係性

職場や学校でもルッキズムに遭遇する場面があるはずだ。先述した「顔採用」でも触れたが、見た目の優劣により組織での立場や評価を決定しては、公平さが保てなくなる。

学校では、「校則」がルッキズムの考え方に基づいているものとして挙げられる。校則では「長い髪は結ぶこと、但しうなじは見えないようにすること」「ツーブロックにはしないこと」などという必要以上に見た目を規制する内容が見受けられる。これらは学校側が定めた容姿に関する基準から逸脱する見た目の人は、学校の風紀を乱す、または反抗的な人物である、かのように判断される基準と言える。何気なく従ってきた校則にも、ルッキズムの考えが根付いているのだ。

フェミニズムとの関係性

ルッキズムの中でもとりわけ深刻なのは、女性に対する容姿や美意識に関する問題だ。身だしなみを一定基準に整えることが、正しい女性の在り方として押し付けられている現状は、令和の今でも社会の様々な部分で感じる。

例えば「女性政治家」や「女性スポーツ選手」と紹介される女性たち。メディアやSNSでは、実績や試合成績よりも、ファッションや容姿など外見について言及されている場面が多くないだろうか。さらには、本来決められた基準は存在しないであろう「女性らしい美しさ」を前提にされた上で、「政治家らしさ」「スポーツ選手らしさ」を求めるような内容も見られる。

また、一般の女性であっても同様の事例が見受けられる。仕事で業績をあげても、懸命に勉学に勤んでもその結果では判断されず、見た目で評価されることがある。容姿の評価がつきまとい、本来の結果に正当な評価が結びつかないことは、ルッキズムと女性の問題をさらに深刻化させたと考えられる。

フェミニズムとの関係性

個人間のささいなやりとりも含めると、上記以外にもルッキズムに遭遇する場面は数多く存在すると考えられる。このことからルッキズムが社会の中に当たり前のように存在していることがわかるだろう。

ルッキズムが問題視され始めている

2019年6月に内閣府が発表した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度)」では、日本に住む若者のうち54.2%の人が、体つきや身だしなみなど、容姿のことが心配であると回答している。(※4)若い世代の半数以上が心配していることからもわかるように、社会の中に存在し続けているルッキズム。今になって問題視されるようになったのはなぜなのだろうか。

摂食障害患者の増加

近年若年層を中心とした摂食障害患者が増加傾向にある。特に新型コロナウイルスが流行し始めた2020年以降、その伸びは顕著である。(※5)

摂食障害患者の増加

出典:国立成育医療研究センター「2021 年度コロナ禍の子どもの心の実態調査 摂食障害の『神経性やせ症』がコロナ禍で増加したまま高止まり」【図1】初診外来患者数 (神経性やせ症) より筆者作成
https://www.ncchd.go.jp/press/2022/1117.html

摂食障害はさまざまな原因が考えられるが、ルッキズムも原因の1つであることは想像に難くないだろう。

ここ近年の美容医療業界の市場は、新型コロナウイルス感染拡大初期の外出自粛などの行動制限によって一時的な縮小が見られたものの、おしなべてみると拡大傾向にあるという調査結果が出ている。(※6)

また2020年以降はこれまでに比べて格段に在宅時間が増え、多くの時間をSNSに費やす若者が増加した。美容医療業界はこの状況をいち早く察知し、痩身などの美容医療広告を広く露出し、多くの若者へアピールした。実際に多くの人がSNSを通して美容医療に関する情報収集を行っていることも、下記の調査結果をみると明らかだ。(※7)

美容医療の情報収集方法

出典:株式会社トリビュー「Z世代・Y世代・X世代の美容医療に対する意識調査を実施」 【図6】美容医療の情報収集方法
https://corp.tribeau.jp/407/

憧れのタレントの写真とともに「キレイのために」「美しいボディラインを手に入れる」と繰り返し流れてくる広告。このような広告は、「痩せていることがさも正解であるかのような価値観を若者に植え付けているのでは」と疑問視されている声もあり、現在までに世界中の多くの医療機関などで研究や考察がなされている。(※8)

例えば、2009年に甲南女子大学人間科学部よって行われた、女子大生359名を対象とした調査によると、「おしゃれのために痩せている方が良いと考え始めたきっかけ」を「テレビでモデルやタレントを見て」と回答した人が70%を超えていた。(※9)

おしゃれのために痩せている方が良いと考え始めたきっかけ

出典:甲南女子大学人間科学部「女子大生のおしゃれ意識がもたらす痩身願望と健康状況 ―食行動・運動習慣との関連において―」【図9】おしゃれのために痩せている方が良いと考え始めたきっかけ(複数回答)より筆者作成

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/63/6/63_309/_pdf

このことから痩せていることを礼賛するかのような価値観が若年層に刷り込まれていたことが読み取れる。また本研究では「おしゃれ願望に根ざした痩身願望が減量行動を通して 摂食障害的行動を招く一要因になっていた」と結論付けられていることからも、メディアと摂食障害の因果関係の根深さが感じ取れる。

上記のことも踏まえると、現在起きている若者の摂食障害増加にはSNSなどのメディアが大きく影響していると推測できるのではないか

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ボディ・シェイミングへの抗議

またSNSによって、見た目を揶揄するボディ・シェイミング(体型批判)も苛烈(かれつ)だ。いち個人のアカウントに対して卑劣なコメントが投稿されていることは前章で述べた通りだが、表舞台で活躍する歌手やモデルなども攻撃の的となっている。海外ではビリー・アイリッシュがビッグサイズのゆったりとしたステージ衣装とは異なる服(キャミソール)を着て歩いていただけでゴシップ雑誌にパパラッチされ、SNSでも見た目に関するコメントが相次いだ。のちにビリーはこのことに反論し、「NOT MY RESPONSIBILITY(私の責任ではない)」とタイトルしたショート動画をアップロードしたことは大きな話題となった。

動画は「do you know me? really know me?(私のこと知ってる?本当に?)」という言葉で始まる。内容の一部を紹介する。

「the body I was born with(私が生まれてきた身体は)
is it not what you wanted?(あなたが望むものではないの?)
if I wear what is comfortable(もし私が着心地いい服を着てたら)
I am not a woman(私は女ではないのか)
if I shed the layers(露出したら)
I’m a slut(尻軽なのか)
though you’ve never seen my body(あなたは私の身体を見たことがないのに)
you still judge it(いまだに批判する)
and judge me for it(そして決めつける)
why?(どうして?)」(※10)

この楽曲の作詞はもちろんのこと、映像監督も務めたビリー。

自分の体型について他人からの評価は関係なく、自分自身が決めるといった、ボディ・シェイミングに真っ向から反論した内容が、歌詞からも映像からも読み取れる。

このような例があるなかでも、日本国内のアーティストにもボディ・シェイミングの余波は及んでおり、外見に対する軽率な発言は後を絶たない。

※4 参考:内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成 30 年度) 第2部 調査の結果
第1章 人生観関係」(2023年2月14日閲覧)
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/ishiki/h30/pdf/s2-1.pdf
※5 参考・出典:国立成育医療研究センター「2021年度コロナ禍の子どもの心の実態調査 摂食障害の『神経性やせ症』がコロナ禍で増加したまま高止まり」
https://www.ncchd.go.jp/press/2022/1117.html
※6 参考:株式会社矢野経済研究所「2021年の美容医療市場規模は前年比101.8%の3,990億円
~コロナ禍の影響から脱して回復基調に~」
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3022
※7 参考・出典:株式会社トリビュー「Z世代・Y世代・X世代の美容医療に対する意識調査を実施」https://corp.tribeau.jp/407/
※8 参考・出典:なんばながたメンタルクリニック 「メディアからの影響は本当なのか」
https://nanba-nagata.com/medical/eatingdisorders/frommedia/
※9  参考・出典:甲南女子大学人間科学部「女子大生のおしゃれ意識がもたらす痩身願望と健康状況 ―食行動・運動習慣との関連において―」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/63/6/63_309/_pdf
※10 出典:Universal Music Japan「ビリー・アイリッシュ、ショート・フィルム『NOT MY RESPONSIBILITY (私の責任ではない)』を公開」 
https://www.universal-music.co.jp/billie-eilish/news/2020-05-27/

ルッキズムの影響に対する対策

社会に当たり前に存在するルッキズムが、自身の生活や考え方に与える影響は大きく、またそれはポジティブでないことが多い。ではその影響にどのように対策すれば良いのだろうか。「メディア」「教育」「セルフケア」の観点からみてみたい。

メディアの役割と責任

先述の甲南女子大学人間科学部の調査からもわかるように、メディアが与えたルッキズムの影響は大きい。そのためメディアにはルッキズムの影響への対策に取り組む役割と責任があるはずだ。具体的にどのような役割と責任だろうか。

偏見を再生産しない報道のあり方

メディアで個人について取り上げる際に「美しすぎる〇〇」「イケメン〇〇」などという表現を冠して報道されていることを目にしたことはないだろうか。このような報道は、個人の容姿に大衆の目を向けることになり、本来注目されるべき活躍や功績ではない部分で世間に認識されてしまうことにつながる。

個人を正当に評価し、対等に取り上げるためには、見た目だけで個人を評価する、注目を引く表現をするということは避けなければならないのだ。

多様な美の価値観を尊重する広告戦略

メディアが美の多様な形を世の中に発信することは、美のステレオタイプを社会に植え付けたメディアが果たさなければならない責任の1つではないだろうか。

株式会社アイスタイルが運営する『@cosme』の調査によると、15〜59歳の女性を対象に行った「化粧品の広告モデル」に関する調査の結果によると、「『様々な顔立ち』の人が起用されている広告に多様性が尊重されていると感じる」と回答した人が全体だと65.8%であった。またその傾向は若年層に多く見られ、20代だけでみると、70.8%の人が多様性が尊重されていると感じると回答した。

また同調査の「多様性を尊重した広告のブランドや企業を応援したいか」という質問では、「そう思う」「ややそう思う」の回答率が64.7%であった。このことから、多様な美を尊重する広告戦略はルッキズムへの取り組みという観点だけでなく、企業のイメージアップにもつながる効果的な施策であると考えられるだろう。(※10)

教育の場におけるルッキズムへの取り組み

ルッキズムの影響への対策には、学校での教育も大きな役割を果たす。具体的にどのような教育が効果的なのだろうか。

子どもたちへの多様な価値観の尊重教育

ルッキズムの影響が大きい要因の1つに、メディアなどで美しいとされている1つの基準を正解だと考えてしまうことが挙げられる。本来、人それぞれである容姿に正解はないはずなのに、そう考えてしまうのだ。

それらの対策に重要になるのが、「多様な価値観を尊重する教育」だ。多様な価値観を子どもの間から養うことで、容姿が異なることは当たり前のことだと理解でき、お互いを尊重することにもつながり、1つの基準が正解だという固定観念を持つこともなくなるはずだ。

セルフケアとメンタルヘルスの重要性

ルッキズムは、メンタルヘルスにも影響を及ぼす。メディアなどで理想とされる美の基準に近づこうとすることで感じたストレスが、自己否定やうつ病につながり、最悪の場合自殺の原因となってしまうこともある。

メンタルヘルスケアのためにも、他者からの評価にとらわれず、自分が望ましい自分でいようとするセルフケアが重要になるだろう。「好きな服が似合う体型でいたい」「好きな髪型にしたい」など、自分がどうありたいかを軸に自分の「美」を追求する。自分の美に関して外部の影響を少なくすることで、心身への負担も減らすことができ、それがルッキズムによる影響への対策にもつながるはずだ。

※11 参考・出典:株式会社アイスタイル「@cosme「化粧品の広告モデルに関するアンケート」調査結果 ~約65%が多様性を感じられる広告モデルの起用に好感~」
https://www.istyle.co.jp/news/info/2022/07/0722.html

ルッキズムから脱却するために

ひとえにルッキズムといっても、個人の問題から他者や社会構造の問題まで、歴史背景も含め現代社会に深く根付いているのが現状だ。このような社会に蔓延(はびこ)るルッキズムから脱却するためにはどのような方法が効果的なのか。

ルッキズムを肯定するような環境を築かない

まずは職場や学校など自身を取り巻く環境で、ルッキズムが存在していないか意識することから始めてみるのはどうだろうか。身の回りの誰かが、他人の外見について言及してはいないかと気にかけるだけでも、自らの価値観に変化が訪れるだろう。また、そのうえで「見た目で判断するべきではない」と伝えることができると、ルッキズムの連鎖を止められるかもしれない。

ルッキズムを肯定するような環境を築かない

アサーティブ・コミュニケーションを心がける

外見に限らず、生まれ育った環境や性格などそれぞれ異なる人が共存しているのが社会だ。考え方が異なる他者とは時に対立することもあるが、感情的に言葉を連ねればお互いの溝は深まる一方だ。そうならないためにも、アサーティブ・コミュニケーションを心がけることをおすすめしたい。

アサーティブ・コミュニケーションとは、他者を尊重しながら、自身の思考に傾向があることを理解し、適切な形で自分の気持ちを伝えるコミュニケーション方法だ。日頃から自分の思考や表現の傾向に目を向け、差別的な目線で他者を見ていないか、また自身が外見について言及された時にはどのような気持ちになるのか、冷静に捉えて整理をしていくことが大切だ。このようなコミュニケーションを繰り返し、相手を尊重できるようになれば、見た目で判断することを減らせるのではないだろうか。

自分自身を受け入れる

「ボディ・ポジティブ」という言葉をご存知だろうか。自分自身のありのままの体型を認めようという考え方の1つで、近年著しくBMI数値(※12)の低い美容体重や過剰な痩身崇拝に対して、批判的な声が上がっている中で生まれたものだ。

自分自身の体型や容姿を他者の評価軸で判断することをやめ、自分自身が受け入れることにより不要な傷つきを防ぐこともできるだろう。またそのような考え方が広まることで、世間一般の美の基準という感覚が薄まりルッキズムの抑止力となることも期待される。

自分自身を受け入れることはそれら美の基準が、いかに印象操作されたものなのかを知り、ルッキズムの構造に疑問を持つきっかけにもなるだろう。(※13)

※12 用語:肥満や低体重などの判定に用いる数値。体格指数。[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]の式によって算出される。
※13 参考:現代ビジネス「『太ったままでいる権利を守る!』米国で起きた肥満を巡る闘争の軌跡」
https://gendai.media/articles/-/64159?page=3

まとめ

見た目をある一定基準に当てはめようとするルッキズムは、多様な生き方が存在する現代社会の中では時代錯誤の思想とも言えるだろう。当たり前のように社会に蔓延しているせいで、何が問題なのか気がついていない人も多いかもしれない。

しかし前述した摂食障害やボディ・シェイミングのような問題を目の当たりにしたとき、外見で判断されることへの違和感に気づき、ルッキズムが抱える問題を認識できるようになるかもしれない。

長らく存在してきたルッキズムから完全に脱却することは、簡単な道のりではない。だが、「かわいい」「かっこいい」「痩せてる」「太っている」など、他者の容姿に関する発言に違和感を覚えたときに、なぜそう感じたのかを考えてみることで、自分の物の見方も変わってくるはずだ。多くの人がルッキズムの眼差しに気付いたとき、外見の評価に振り回されない未来が切り開かれるのではないだろうか。

 

文:三浦 永
編集:吉岡 葵