アップサイクルとは?
アップサイクルとは使わなくなったり、古くなったりして本来であれば捨てられるものに、新しい価値を付与したり、全く別の製品へと生まれ変わらせることだ。
アップサイクルの歴史
アップサイクルという用語が初めて使われたのは、1994年10月11日にドイツメディアのSalvoNEWSの記事において引用された、Rainer Pilz氏の「What we need is up-cycling.」という発言であると言われている。(※1)また1993年にスイスではトラックの幌(ほろ)のデザインや素材を活用しカバンを製造するブランドのFREITAGが誕生した。このことから欧州ではアップサイクルの考えが1990年代には広まりつつあったと考えられる。
※1 参考:SALVO MONTHLY No 23 October 94 + SalvoNews99 tuesday 11 october 1994
https://www.salvoweb.com/files/sn99sm24y94tk181119.pdf
リサイクルとの違い
似たような単語にリサイクルがある。廃棄予定のものを再利用する点では、アップサイクルとリサイクルは同じといえるが、リサイクルは、不要になった物品を資源の状態に戻すことをいう。例として挙げるとウールやコットンを糸に、ペットボトルをポリエステルの状態まで戻すことだ。
一方で、アップサイクルではそのような工程を行わない。元の製品にアイデアやデザインといった新たな付加価値を持たせることにより、製品の形を生かしたまま別の新しい製品に生まれ変わらせるのだ。
ダウンサイクルとの違い
アップサイクルの逆の意味を持つ言葉として、ダウンサイクルが挙げられる。
ものに新しい価値を付与するという点では同義だが、ダウンサイクルは元の製品から価値をダウングレードさせた状態に生まれ変わらせることをいう。使わなくなったTシャツでタオルを作ることなどが例として挙げられる。
また、ダウンサイクルされるものは、もともと捨てようと考えていたものも多いため、持続性の低い再利用となることが多い。
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リデュース、リユース、リメイクとは
混同しやすい言葉として、リデュース、リユース、リメイクが挙げられる。
リデュースは、そもそもの廃棄物の発生や資源の消費を減らすことをいう。エコバッグを用いコンビニやスーパーで買い物することや、無駄な消費はなるべく抑え、買った製品を長く使うことなどがリデュースに該当する。また企業が製品を作るときに、なるべく資源を抑えたり、使用年数を持続させるため耐久性を向上させたりすることもリデュースに含まれる。
リユースは、一度使われた製品に手を加えることなく、そのまま繰り返し使うことを指す。壊れた家電製品を修理して再び使うこと、不要になった服を誰かに譲ること、オークションやフリマアプリで販売して他の人に使ってもらうことなどがリユースだ。
リメイクは、古い製品にアレンジを加える方法だ。廃棄されるはずの元の製品の特性や素材を生かすという点では、アップサイクルと同義だ。しかし、リメイクでは必ずしも価値が高まるわけではない。その点で、価値の上昇に重点を置くアップサイクルとは異なる。
リデュース、リユースに先ほど説明したリサイクルを加え、3Rと呼ばれており、環境を守るためのごみ削減の取り組みとして周知されている。また、これらには優先順位が存在しており、一番はじめにゴミを減らすリデュース、次にできる限りゴミにしないリユース、最後に再利用するリサイクルと続く。3Rはサーキュラーエコノミー(循環型経済システム)を構築するための基本的な考え方とされている点にも注目したい。
▼サーキュラーエコノミーについてより詳しく知る
アップサイクルが注目される背景と現状
アップサイクルのメリット
アップサイクルのメリットの1つに環境への負荷が少ないことが挙げられる。仮にリサイクルした場合、不用品の運搬やリサイクルの過程で二酸化炭素を排出することで環境への負担がかかる。一方でアップサイクルの場合はそのような工程を踏まず、製品の形や特徴を生かしたまま製品を生まれ変わらせる。よってリサイクルよりも環境への負荷が少なく、サステナブルなこととして注目されている。
また不用品の運搬や原料に戻すための設備や手間が不要になるため、生産のコストが抑えられるメリットもある。
アップサイクルのデメリット・課題
ここまで見てきたようにメリットが多いアップサイクルだが、いくつかのデメリットも挙げられる。
・材料確保が不安定であること
廃棄や不要になったものを材料とするアップサイクルでは、材料の安定供給が困難になる可能性がある。廃棄されてから生産に着手できるため、いつでも生産可能というわけではない。原材料の安定した確保が難しいということは、大量生産が見込めないということになる。また大量生産ができない場合、コストパフォーマンスが悪くなり、販売コストに影響を及ぼす可能性が高いと考えられるだろう。製品化を考える場合には、供給量、供給タイミングが不安定でも「欲しい」と消費者が思えるような付加価値が必要になるのではないか。
・廃棄が常態化する可能性
アップサイクルが定着することは、廃棄が常態化する可能性も秘めている。「アップサイクルすれば問題ない」という考えが一般化することで「どうせ他のものに生まれ変わるから、ごみを出してもよい」という捉え方をする人が出てくる可能性があるからだ。
そもそもの大前提として「廃棄物が出ないことが望ましい」という考えがスタートにあることは、忘れてはいけない。
アップサイクルの日本での関心
現在日本でアップサイクルの関心はどのぐらいあるのか。例としてファッションの観点から見てみよう。
2020年に環境省が発表した調査(※2)によると「サステナブルファッションについてどのように思いますか」という質問に対して全体の59.2%が「関心がある」と答えた。このことからサステナブルファッションへの関心は高まっていると考えられる。
一方でサステナブルファッションにおける具体的な取り組みに関しての質問ではリサイクルの認知度が50%を超えているにも関わらず、アップサイクルの認知度は1番少なく男女ともに約30%であった。まだそれほど認知度が高いと言える状況にはないと考えられる。
アップサイクルには環境への負荷が少ないなどのメリットも多いため、認知度の向上とともに個人や企業が具体的に取り組むことも増加していく必要があるのではないか。
※2 参照:株式会社日本総合研究所「環境省 令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務ー消費者アンケート調査ー」
https://www.env.go.jp/policy/pdf/st_fashion_and_environment_r2matome.pdf
アップサイクルの世界の現状
日本での知名度はそこまで高くないものの、海外ではアップサイクルに注目が集まっている。特に注目されているのが、アップサイクル食品だ。
アメリカでは、2019年にアップサイクルの食品協会が設立された。その後、同協会はアップサイクル食品・製品への認証プログラムをスタートさせるなど、アップサイクルの盛り上がりに寄与している。
海外では様々なアップサイクル食品が生まれている。ビールの製造過程で使用済みとなった大麦を活用して植物性ミルクを開発したり、コーヒーの粉から脂質を抽出し、パン・小麦粉製品などの材料を生み出したりすることが事例として挙げられる。
上記のようなアップサイクル食品が身近になることで、日本におけるアップサイクルの認知度も向上していくのではないだろうか。
▼「アップサイクル食品」について詳しく知る
アップサイクルの手法とツール
ここまでアップサイクルの概要について説明してきたが、具体的なアップサイクルの手法とそのためのツールにはどのようなものがあるのだろうか。
家庭で始めるアップサイクルのステップ
アップサイクルは、家庭でも取り組むことが可能である。料理で使った野菜や果物の皮などを使った方法や、着なくなった服を利用する方法もある。
「朝日新聞デジタル」では、家庭で取り組めるアップサイクルについて以下のような例を紹介している。
・コーヒーかすを消臭剤に
・アボカドで草木染
・使い捨てカップをプランターに
(※3)
一つ目の、コーヒーかすを消臭剤にするためには以下のような方法があると説明されている。
コーヒーを入れたあとに残るコーヒーかすは、しっかり乾燥してからコーヒーフィルターや綿の袋に入れれば、消臭剤に変身します。げた箱や玄関に置いておくと嫌な臭いを吸収してくれ、要らなくなったら、家庭菜園の肥料としても使えます。
乾かしてから使わないとカビが生える原因になるので、天日干しで水気を飛ばしてから使いましょう。
(※3)
家庭でアップサイクルをする方法はいくつかあるが、まずは自分が取り組みやすいものや、生活のプラスアルファになるものから挑戦してみると良いだろう。
※3 参考:朝日新聞デジタル「SDGs ACTION アップサイクルとは? 重要視される理由や事例、簡単アイデアを紹介」
https://www.asahi.com/sdgs/article/14567291#h163sl21j37kp1e6rb5tr4ej285emom
アップサイクルのための便利なツールと資材
特別なツールや資材を使わずとも、アップサイクルに取り組むことができる。家庭においては、カッターやハサミ、ボンドなどがあれば作れるものもある。例えば、カフェや雑貨屋でもらう紙袋を財布やポーチのように加工することができる。質や耐久性を高めたいときは、コーティング剤などを使うことも手段の一つであろう。
アップサイクルは本来捨てられてしまうはずだったものを使って、再び価値を生み出すあるいは前よりももっと価値のあるものを生み出す取り組みであるが、自身のアイディアと、手元にあるもの、ホームセンターに売られているものを利用すれば取り組みができるというところがポイントだ。
また、自営業をしている店の資材を使ってアップサイクルを行なっている人たちもいる。
アップサイクルに関するコミュニティと教育
アップサイクルを推進するためには、個人だけの力ではなくアップサイクルに取り組むためのコミュニティや、教育現場でのアップサイクルの重要性のインストールなどが重要となってくる。
アップサイクルを支えるコミュニティの役割
アップサイクルは身近なものから取り組める手段ではあるが、個人で行うには、専門的な技術や道具が必要な場合もありえる。特にクオリティや耐久性、斬新性などはプロに相談する場合が良いときもあるだろう。
アップサイクルコミュニティには、個人では取り組みが難しいことを代わりに行ったり高度な技術でアップサイクル商品を提供しているコミュニティが多数存在している。例えば、洋服の染め直しを行っている「somete」(※4)はその例の一つである。
「somete」の取り組みは、HPに記載されている内容をみるとわかりやすい。
大切な服が生まれ変わる
someteはクローゼットの中に眠る思い入れのある服の"染め直し"を連携する全国約40の染色クリエイターや工房に依頼できる※アップサイクルプラットフォームです。
個性豊かなクリエイターの手により、あなたの大切な服が、色鮮やかに生まれ変わります。
さぁ、大切な一着とあなただけのカラフルなストーリーをはじめよう。
(※4)
アップサイクルコミュニティは個人では取り組むことが難しいアップサイクルを可能にすることや、思いもつかなかったアイディアを使って商品を作り出すという点でアップサイクルの推進において重要な役割を担っている。
※4 参考・引用:somete「TOP」
https://somete.jp/
教育の場でのアップサイクル教育の重要性
教育の場においてアップサイクルを学ぶことは、児童や生徒たちが物の可能性を知ったり、あるいは社会で排出される廃棄物の現状を知ったりといったあらゆる観点において重要性を持つ。
品川区の青稜中学校では企業と協同し、捨てられがちな食品を使ったアップサイクルに関する授業を行った。(※5)中学校で授業を担当したオイシックス・ラ・大地株式会社は自社のHPで授業後の生徒たちの感想を掲載している。
・自分たちが考えたものがこんなに早く形になり始めたことにまずはびっくりしました。さまざまなプロフェッショナルのアドバイスをもらうことで、自分たちのアイデアがさらに魅力的なものに仕上がっていることがうれしいです。
・実際に販売するものを、みんなの意見を聞きながら考えていけることに感動しています。また、フードロスの食材を使うことで地球のためにもなり、いい影響を与えられそうなことにわくわくしています。
・フードロスはみんながやれば解決できると思っているので、それを広げるお手伝いになれればと思い、このゼミナールに参加しました。授業を通してSDGsについてより学びが深まりました。
(※6)
上記の感想を見てもわかる通り、実践を通したアップサイクル教育は「アップサイクル」という単語を学習するだけではなく経験を通して自分たちが地球に良い影響を与えられること、そして生徒の自信にもつながることがわかる。
※5 参考:教育家庭新聞「食材のアップサイクルをテーマに~オイシックスが青稜中でSDGs特別授業」
https://www.kknews.co.jp/post_health/20220620_3b
※6 引用:オイシックス・ラ・大地株式会社「【事後レポート】10月の販売開始に向けたアップサイクル商品開発の特別授業が青稜中学校で開講中!」
https://www.oisixradaichi.co.jp/news/posts/event20220627/
アップサイクルを学ぶためのオンラインリソースと参考文献
実践を通したアップサイクルの学習も重要な方法だが、アップサイクルとはどのようなものなのか、どんな流れの中にあり、これからどうなっていくのかなど学術的に学習していくことも重要な方法の一つだ。
オンライン上での情報や書籍などにおいて、アップサイクルを学ぶことができる。書籍は、小学生から読むことのできるものから、アップサイクルに取り組んでいる人物のエッセイ型のものまで多様に存在している。
例えば下記のようなものがある。
- 「知ってる?アップサイクル」編集委員会 (編)『知ってる?アップサイクル もうひとつのリサイクル 2 アップサイクルをやってみよう!』(2020年、さ・え・ら書房)
- 島津 冬樹『段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル』(2018年、柏書房)
- グラフィック社編集部(編集)『アップサイクル・ノート―今ある布を大切に使いまわす』(2022年、グラフィック社)
オンライン上では、アップサイクルについての情報が個人ブログから論文まで幅広く読むことができる。オンライン上でも、書籍でも自分が興味を持てるものから読んでみることでアップサイクルへの理解をもっと深めることができるだろう。
アップサイクルできるものは?
アップサイクルは衣服以外にも、食品やガラス、プラスチックなどでも行うことが可能だ。日本でのアップサイクルの認知度はまだ低いものの、アップサイクルに取り組む企業が日本にもあるのでいくつか事例を紹介する。
アップサイクルの企業事例
「FROMSTOCK」ー洋服が黒染めにより新たに生まれ変わるー
1つ目に紹介する事例は、株式会社アダストリアが行う取り組みで生まれた新たなブランドFROMSTOCKだ。(※7)2019年に開催された、企業の垣根を越えて在庫廃棄問題について議論し合うイベント「For Fashion Future」がきっかけで生まれた。
FROMSTOCKは捨てられるはずの洋服を、黒染めし、新たな価値を持った製品へと生まれ変わらせる。黒染めによって元々の洋服についているダメージさえも独自の風合いに変化する。また、黒染めの方法もすべて同じ方法ではなく、洋服の素材や特徴によって使い分けている。そのためそれぞれ異なる仕上がりになる。またFROMSTOCKでは新たなロスを生まないために、黒染め前のブランドのタグはそのままにしている。
上記の取り組みに加え在庫の適正管理を行うことで、残在庫の焼却廃棄ゼロを達成(※8)している。
公共インフラを活用したアップサイクルモデルの構築
2つ目に紹介する事例は、東日本旅客鉄道株式会社とJR東日本スタートアップ株式会社と株式会社ヘラルボニーの3社の協業による取り組みだ。
この取り組みでは、駅や建設工事現場等をアーティストの作品でラッピングし「ステーションミュージアム」を作り上げ、町の魅力向上への貢献を目指している。
ラッピングには、再利用可能素材を活用し、知的障がいのあるアーティストの作品が印刷されている。ラッピング素材としての役目を終えた素材は、トートバッグや小物にアップサイクルして販売された。通常、駅などで掲示される大型の掲示物に利用される塩化ビニールシートは焼却時にダイオキシン等が発生するが、本取り組みでは屋外広告物から発生する廃棄物削減とともにアーティストの芸術活動の支援と所得向上に貢献した。この取り組みの効果として、作品提供料とバッグ売上により1作品あたり約12万円の報酬を福祉施設や知的障害のあるアーティストに還元することを実現した。
「SOSEINO」ー地元の食材を生かしたアップサイクルビールー
3つ目に紹介する事例は、廃棄されるはずだった地元の食材を活用したクラフトビールの「SOSEINO」。(※9)
SOSEINOは奈良県でクラフトビールを醸造しているGolden Rabbit Beerが発売した新ブランドだ。奈良に訪れた人をクラフトビールでもてなしたいという思いからクラフトビールの醸造を始めたGolden Rabbit Beer。醸造に必要な大麦や米は地元の農家とともに生産するなどし、奈良県の素材を活用したビールを醸造することを特徴としている。
Golden Rabbit Beerがクラウドファンディングを行い、2022年に始めたのがSOSEINOだ。廃棄されるはずだった奈良県産の素材を活用することで、フードロスの低減を目指している。SOSEINOのビールには、奈良県産のイチゴの搾りかす、奈良にある酒蔵の酒粕、ワイン用のぶどうなどが利用されている。
2023年の3月には奈良県生駒市の伝統工芸品、茶筅(ちゃせん)の原材料に使用される竹の間伐材を再利用したビールが販売予定だ。
SOSEINOにはフードロスの低減を目指すとともに、製品を通して奈良県の魅力を知ってもらい、奈良に訪れた人に喜んで欲しいという願いが込められている。
※7 参考:FROMSTOCK公式サイト
https://fromstock.jp
※8 参考:環境省「適正在庫とアップサイクルによる大量廃棄問題の解決に向けた取組事例」(2022年12月30日閲覧)
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/goodpractice/case07.pdf
※9 参考:SOSEINO公式サイト
https://soseino.com
暮らしのアップサイクルアイデア例
企業の取り組みによる製品以外でも自分でアップサイクルを行うことも可能だ。ここでは暮らしの中で取り組みやすいアップサイクルの方法を紹介する。
アルミ缶のアップサイクル
アルミ缶はカッターやハサミで簡単に加工したり色を塗ったりすることが可能だ。例としてガーデニングの鉢代わりに利用することができる。クラフトビールやお土産で購入できる絵柄がお洒落なデザインの缶もあるため、ぜひお気に入りの缶を見つけアップサイクルしてはどうか。
ただし、アルミ缶の加工には怪我のおそれもあるため、加工時は軍手を使用するなどし、切り口が安全になるように細工を施すなど、細心の注意を払う必要がある。
衣服のアップサイクル
着なくなった衣服に刺繍やパッチワークをして新しく生まれ変わらせることが可能だ。
刺繍であれば洋服のほつれや汚れを隠すことができる。また無地の服に自分好みのワンポイントも追加することが可能だ。隙間なく刺繍をすると洋服が少し縮んでしまうため縮んでも気にならない場所に刺繍するのがポイントだ。パッチワークを施せばポケットのなかった服にはぎれを用いてポケットを追加することもできる。またTシャツの袖やポケットをパッチワークで別の布を用いてアレンジすることも可能だ。
また衣服を染めることもアップサイクルの1つの方法だ。洋服の黄ばみやシミなどの汚れも染め直し、洋服を生まれ変わらせることができる。染める手段に食材を使うことで気軽に染めることが可能だ。染めるのに使う食材は料理後に廃棄する部分でも問題ないし、食材を煮出した後で食べることも可能だ。(※10)
※10 参考:グラフィック社編集部『アップサイクル・ノート―今ある布を大切に使いまわす』( 2022年、グラフィック社)
まとめ
アップサイクルは企業が行うこともあれば、個人の手で行うこともできる。自分のお気に入りだった服を生き返らせ、自分が再び使うことも他の誰かが使うようにすることもできる。
アップサイクルが日本で認知され始めたのは最近ではあるが、「もったいない」という言葉が古くから存在するように、既存のものの活用方法を考え、新しい価値を付与するという考え方はすでに存在したのではないか。それであれば日本が積極的にアップサイクルに取り組んでいくことはむしろ得意なことなのではないかと考える。
自分で育てた野菜は美味しく感じるのと同様に、自分でアレンジしたものも大切にできるはずだ。自分でできるSDGsの取り組みとして、アップサイクルを2023年の新しい趣味にしてみるのも悪くないのではないだろうか。その1歩が自身が住むこの星を守ることにもつながるのだ。
文:吉岡葵
編集:白鳥菜都
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