ラップデュオchelmicoのRachelさんと映画解説者の中井圭さんが各回ゲストスピーカーを迎え、「社会を前進させる取り組み」をテーマに様々な切り口から“いま”知りたい情報を発信する「あしたメディア in Podcast」。好評につき、前回までの全16回配信に加え、3月末から全8回の配信が開始された。この記事では、第17回(3月24日配信)と第18回(3月28日配信)の内容をダイジェストでお届けする。
今回のゲストは温泉ビューティ研究家の石井宏子さん。第17回の放送では「温泉ビューティとは何か」を、第18回の放送では「ツーリズムのこれから」をテーマに、石井さんおすすめの温泉宿や、いまワーケーションが注目されている理由など、多岐に渡るトークが繰り広げられた。
温泉ビューティ研究家とは!?
第17回目のテーマは、「温泉ビューティって何?」。世界でただ1人の温泉ビューティ研究家である石井さんに、温泉とビューティがどう結びつくのか、どのような経緯で温泉ビューティ研究家を名乗るようになったのか伺った。
Rachel:「温泉ビューティ研究家」って初めて聞いたのですが、どんな活動をしているのか教えていただいてもいいですか?
石井:温泉って、美人の湯とか美肌の湯とかたくさんありますよね。初めは「温泉に入るとどうビューティになるんだろう」っていうことを研究していたのですが、温泉に行っていると、次第に周りの自然環境もビューティに関係があるのかもとか、いろんなものを旅で食べることもビューティだよねとか、いろいろ思い始めて。今は「温泉に行くこと全てがビューティ」ということで研究をしています。
Rachel:世界でただ1人の温泉ビューティ研究家なんですね。
石井:はい。温泉ビューティという言葉を思いついたときに、これはちゃんと商標登録をしないと!と思って、思いついた瞬間に特許庁に行きました。
中井:石井さんはいつから温泉に興味があったんですか?
石井:元々宿に泊まる旅がすごく好きで、子どもの頃に「なりたい職業は何ですか?」って言われたら、兼高かおるさん(※1)になりたいって言っていました。世界を旅することで有名な方だったんですけど、そういう旅人になりたいな、という希望があったので、評判の宿とか素敵な宿の話を聞いたらお休みの日に泊まりに行って、それを将来記事とかに書けたらいいなと思って。日本の旅を語るなら温泉は欠かせないな、旅のことを書くのであれば温泉をちゃんと勉強しないと、と思ったのがきっかけです。
Rachel:それから、どのように今のお仕事に繋がったのですか?
石井:以前、外資系の化粧品会社で仕事をしていて、化粧品の成分や効果についてマーケティングをしていました。美肌の湯とか美人の湯と聞いて、温泉のどんな成分がどのように働いて美肌になるのか、といったことが気になり、いまのお仕事に繋がっています。
Rachel:化粧品のお仕事から繋がって美容にたどり着いたんですね。
※1 日本のジャーナリスト(ツーリストライター)。世界各地を取材して回る番組「兼高かおる世界の旅」で150カ国以上を駆け巡った。
美肌の湯、都心近くの絶景宿
後半では、石井さんイチオシの美肌の湯、東京からでも気軽に行くことができる温泉宿について紹介された。
石井:温泉にも実はいろんな成分があるので、それぞれ肌の綺麗になり方が全然違います。例えば、化粧品も石鹸のように肌の汚れを落とすものとか、化粧水のように潤いを補給するものとかいろんな種類のものがありますよね。温泉も成分によって、石鹸のように汚れを落としてすべすべにするとか、化粧水のようにしっとりするとか、血の巡りをよくして体内のいらないものを外に出してくれるデトックス系とか、いろんな使い分けができるんです。
中井:もし石井さんが最近「美肌の湯だな」と思った温泉があれば教えていただきたいです。
石井:いろんなタイプの温泉があるのでその時々でいいなと思う場所は変わるのですが、長野県にある野沢温泉は良かったです。熱いお風呂が好きっていうその地域の文化があって、アルカリ性の硫黄の温泉なんです。なので、肌を滑らかにして、なおかつ内側から輝くような成分を与えてくれます。癒される美容というよりは叱咤激励されるような感じですが、元気になりました。肌のピカピカ度がすごかったです。
Rachel:いいですね…。ちなみに、忙しい人が東京からでも気軽に行けて楽しめる温泉宿とかありますか?
石井:サクッと行けるのは熱海がいいと思います。新幹線で熱海から通勤している人もいるぐらいですから。熱海は観光地のイメージがあると思うのですが、実はすごく湯量が豊富でいい温泉がたくさんありますし、海を眺められる絶景風呂があります。私のお気に入りは伊豆山温泉にある、ニューさがみやです。海のすぐ側に建っていて、最上階には貸切の露天風呂があります。空いていればいつでも自由に入れる貸切の露天と男女別の露天風呂があるので、1人で行って満喫することもできますし、お友達とか家族といっても楽しいと思います。御来光や、夜海に浮かぶ月もすごく美しいので、ぜひ行ってみていただきたいです。
Rachel:実は私も2年前くらいに熱海に行ったんですけど、その時は温泉目的じゃなくて、ただ遠くへ行きたいなと思って行っただけだったので、次回は絶対に温泉に行きます(笑)。
温泉ワーケーションの可能性に迫る
第18回目のテーマは、「ツーリズムのこれから」。昨今話題の新しい働き方「ワーケーション」や、観光業から見たSDGsについてトークが繰り広げられた。
中井:まずワーケーションについてですが、石井さんご自身も実践された経験はありますか?
石井:1年の半分が旅なので、ほぼワーケーションですね(笑)。実はあんまり旅先で仕事はやりたくない派なんですが、最近はワーケーション用の設備が整っている宿も増えているので、将来的にはいまよりもっと気軽に旅に行けるようになるのではないか、と思っています。
中井:僕も先日熱海と神戸にワーケーションに行ってきました。コロナ禍はずっと家にいたので、出かけて旅をしながら仕事をするのは新鮮でしたね。今回はチームで行ったんですけど、普段はメンバーと直接会って話すのも少し抵抗がある一方で、旅中はお互いに話す時間が取れて良かったです。
Rachel:1人じゃなくて、団体で行けたのがいいですね。
中井:基本はみんな自分の部屋で仕事してるんだけど、ご飯とかお風呂の時間を合わせて集まったりしていました。コロナ禍でどうコミュニケーションをとるかという課題の解決にも繋がりそうだなと思いました。
石井:チームで合宿みたいに利用するのもいいし、フリーランスで気軽にパソコンを持って行くのもいいと思うのですが、会社に勤めてらっしゃる方にもワーケーションはおすすめです。リモートワークが浸透しているとはいえ、ちょっと温泉には行きづらいな、という気持ちはありますよね。でも、「働く日に温泉に行く」と考えずに、休暇を取りやすくする、という意味でワーケーションを利用してほしいなと思います。そっちの需要の方が私はこれから伸びていくと思っています。
中井:なるほど。詳しく聞かせていただけますか?
石井:ワーケーションが普及することで、いまよりも気軽に休暇を取れるようになるといいですよね。休暇を取ったんだけど会議にでなきゃいけないから休暇を返上したり諦めるとかいうふうにならずに、仕事を少しだけしながら休暇として堂々と休みを取るために使うみたいな、そういうワーケーションも私はいいんじゃないかなと思います。
Rachel:その発想はなかったです。
一度は行きたい、絶景ワーケーション宿
中井:石井さんから見て、ワーケーション向きの宿ってありますか?
石井:仕事で使うのであれば、お部屋の設備が整っていて、なおかついい温泉があってゆっくりできるといいですね。おすすめしたいのは、宮城県の鳴子温泉です。鳴子温泉の旅館大沼は、日本秘湯を守る会(※2)にも入っていて湯治もできる歴史ある宿でありながら、YouTubeライブとかもできるぐらいの通信環境が整っています。元々大広間だった場所を、研修やセミナー、会議ができる多目的ラウンジにして、大画面で映画を見てスピーカーで音楽を聞いたり、ズームで会議をしたりできるスペースがあります。温泉は自家源泉で、紅茶色の美肌の湯なんです。自炊場もあるので、旅館の美味しいお料理を食べてもいいし、みんなで料理してワイン飲んでとか、そんなこともできちゃいます。
中井:めちゃくちゃ最高ですね。
石井:あともう1つ。ワーケーションの際には仕事をする環境が大事だと思うのですが、いままでで1番絶景が見えるデスクだなと思ったのが、箱根の仙石原にある星野リゾート界 仙石原です。そこは仙石原の山々を眺める高台に建っていて、各部屋の窓際にデスクがあるんです。
中井:パソコンでお仕事しながら、疲れたなって顔を上げたら絶景が広がっているんですね。
石井:そうなんです。普通ワーケーションをするときって、壁に向かってとか、部屋で煮詰まったりしますよね。なので、快適な机があってしかも前が絶景っていうのは最高だと思います。
Rachel:これはぜひ聴いているみなさんにも調べてほしいですね。
番組内では、その他にも最近できたおすすめの宿、ご飯が美味しい宿など、さまざまな温泉宿が紹介された。温泉ビューティ研究家として、まだ見ぬ温泉の可能性を探求し続ける石井さん。今後もその活動に注目したい。
※2 朝日旅行会が主催する温泉旅館の組織。1975年4月に設立、全国各地の秘湯にある旅館が会員として登録している。同会が設ける秘湯の基準を満たした旅館のみが加入できる。
〈あしたメディア in Podcast概要〉
MC:Rachel(chelmico)、中井圭(あしたメディア編集部、映画解説者)
配信媒体: Spotify(Apple Podcastも順次配信予定)
文:柴崎真直
編集:白鳥菜都