よりよい未来の話をしよう

投票に行かない7つの理由に真剣に返答してみます。

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今年のハロウィン(10月31日)は衆議院選挙の投開票日。「投票に行くことは国民の大事な権利」と言われても、何となくピンと来ないという人も多いかもしれません。

投票に行く人を増やすための活動を展開するNO YOUTH NO JAPANで代表をしている中で、これまで私が「投票に行かなかった」という人たちから聞いてきた投票に行かない理由に対して真正面からお答えしてみます。

「投票に行こう」という呼びかけに飽き飽きしている人も多いかもしれませんが、少しお付き合いいただければ幸いです。

1)「私が投票に行っても何も変わらなくない?」

投票に行こうと呼びかけている私だって「あなたの1票が社会を変える」なんて綺麗事だと思っています。1票の有効力が感じられず、投票に行く気が起きないという言い分もわかる気がします。

ただそういう人に、1度聞いてみたい。
「逆にあなたの1票で全てが変わるとしたら、本当に投票したい?」

もし自分の1票で全てが変わってしまうとしたら、私は怖すぎて投票できないです。どんな人だって1票は1票。SNSのフォロワー数も年収も関係ありません。1人ひとりの1票1票の積み重ねで選挙の結果があって、わたしたちの社会がある。自分の1票で、自分の暮らしや社会が良くなる可能性が高まる。

「たかが1票、されど1票」それくらいで丁度いいと思いませんか?

早速、1票にそこまで価値がないと認める発言をしてしまいましたが、一方で選挙に出馬している候補者側の視点に立つと、「たかが1票」の見え方が変わったりもします。候補者は、その1票が欲しくて欲しくて、早朝から深夜まで本当に多くの人たちを巻き込んで活動しています「たかが1票」が喉から手が出るほど欲しい人たちがたくさんいたりもするのです。
それから、実は選挙の中には、僅差で結果が決まっているものもあります。今年7月にあった東京都議会議員選挙では目黒区で6票差で候補者の当落が決まっていました。「たかが1票、されど1票」、小さな一票が大きな意味を持つこともあるんだなと思うのです。

2)投票日は日曜日だけでしょ?週末は休みたい、遊びたい。

今回の衆議院選挙、投票できるのは10/31(日)だけでなく10/20 (水)〜10/31(日)なんです、実は。

「期日前投票」という制度が2003年からあります。衆議院選挙では投票日の12日前から投開票日の前日までは、「期日前投票所」に行けば投票できます。役所での投票が多いですが、地域によっては期日前投票所がショッピングモールや駅前にあったりもします!便利!

Googleを開いて、「住民票がある市区町村名 期日前投票」と検索し、どこで投票できるかチェックしてみてください。(例えば、札幌市に住民票があるけれど、今は住んでない人は「札幌市 期日前投票」と検索)

衆院選は4年に1度。選挙にかかる時間は移動も含め平均15分というデータもあります。投票できる12日間のうちのたった15分、選挙に使うことも考えてみてほしいです。

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3)選挙のことはよく分からない。特に投票したい政党・候補者もいない。候補者全員同じに見える。どこに投票したらいいか分からない。

学校でもちゃんと習ってないし、どうやって投票先を選んだら…と多くの人が思っていると思います。でも、実は自分が「もやもや」していたり、変えていきたいと思うことがあればそれを実現してくれそうな人は誰か?という視点で選べばいいと思います。

NO YOUTH NO JAPANでは若い世代が関心を持っているテーマを調査し、解説や政党比較を政党にアンケートなどを実施して投稿を制作しています。Instagramを開いてNO YOUTH NO JAPAN(@noyouth_nojapan)をフォローして、投稿・発信をチェックしてください!ライブも見てくれたら、私がどれだけ選挙が好きか伝わるかもしれません…。投票日当日まで、選挙に行ったことがない人に向けて「これを見れば投票に行ける」と言えるような分かりやすい情報をまとめています。

それから、他の人たちがどういう考えで投票しているか見える化したいと「#だから選挙行かなきゃ」を集めるInstagramのサブ垢(@noyouth_nojapan_voice)もやっています。投稿に高いハードルを感じている人も、他の人の脳内を覗き見してみてください。

4)住民票を移していないし、実家(住民票がある地域)に帰る時間もない。

この回答が、20代の投票に行かない理由アンケートでよく上位にありますし、友達からも多く聞きます。そんな人には「不在者投票」という制度を知ってほしい!

不在者投票という制度は、選挙期間中に住民票に記されていない地域にいても、投票日の前に今いる地域の期日前投票所に行くことで投票できる仕組み。準備・郵送なんかしなきゃいけなくてデジタル化はよ…!という感じではあるのですが。いっそアナログを体験できる最後の世代かもしれないと、後世に語り継ぐためのエピソードづくりをする意気込みで、ぜひやってみてほしいです。思ったより簡単にできます。投票したあと、投票用紙を住民票がある地域に郵送しなければいけないので、期日前投票所がオープンする10/20(水)以降、早めに行くのがおすすめです!

やり方ですが、この場合もGoogleを開いて、「(住民票がある市区町村名) 不在者投票」と検索すればいいのです。(例えば札幌市に住民票があるけれど今は住んでない人は「札幌市 不在者投票」と検索)ちょっとよく分からないという人はNO YOUTH NO JAPANのアカウント(@noyouth_nojapan)でも丁寧に方法を解説するのでそちらを見てくださいませ。

5)政治とか選挙とか正直詳しくないから、私なんかが投票しない方がいいと思う。

案外、1番よく聞くのが「私が投票するより、分かっている人が投票してくれてた方が安心」という話。

私なりの考えですが、選挙のことをすべて分かって投票している人ってどんな専門家でも、偉そうに話しているコメンテーターでも、いないと思うんですよね。だって100人いれば100通りの見方があり、全てをカバーできる人もいないから。

だから全て知ってから…と考えるのではなく、「これから生きていく社会、何が解決してほしいかな?誰が/どの政党が叶えてくれそうかな」という目線で自分はこれに注目したいという自分軸を持って、投票したらいいと思います。

変に間違った投票して責任も感じたくないな〜と思っているとしたら、「正しい投票」と「正しくない投票」みたいなものが存在しているという思い込みを捨ててほしいです。選挙に正解はないし、選挙は数年に1回あるからまた投票できるところも良いところ。数年経って、自分の感覚的に違うと思ったら、次は違う人に入れたらいいのです。今の自分にとってベストだと思う人を選んでみたらいいと思います。どう選んだらいいのか分からない人は、「どうやって投票先を決める?」というNO YOUTH NO JAPANのInstagram投稿を見てください。(宣伝3回目ですみません)

あともう1つ、この話を聞くたびに思うのが、「今投票に行っている人はなんだかんだ私も含めた社会のことを考えて投票してくれているだろう」と思っていませんか?実は既に選挙に行っている人だって、この人でいいのかな?と迷いながら投票しています。誰かからお願いされたり、所属している組織が応援している人がいたりして、「どんな社会にしたいか?」ということを真っ直ぐ考えずに投票している人たちもいるというのが正直なところ。そういう人たちの存在が今はまだ大きいのですが、より多くの人が投票に行くことで影響力が薄まり、若い世代含めもっと多様な人たちの声が重視される政治になるのではと私は思っています。

6)日々の仕事や学業、家事などで忙しい、行くのが面倒。

投票は、意外とすぐ終わります。きっと投票所入ってから出るまで1分か2分くらい。何も持って行かなくても投票できます。家に届く投票券があれば持っていくといいですが、手ぶらでも大丈夫なんです。
住んでいる地域のどこで投票したらいいか分からない人もいるかもしれませんが、家に来る案内をサクッと見てみてください。期日前投票もできたりもします。ググればどこで投票できるか分かります。「(市区町村名)+  投票所」で検索です。

スマホで特別見たいわけでもない動画を流し見して1時間経ってた…!なんてことをやっている間に、家を出て投票所に行って投票して帰ってこれているはず。(すごく遠くにしか投票所がない地域の人はすみません、でもだいたい当日は小学校区の単位で設置されている地域も多いです)

7)若い世代の人口は少ないし、投票率上がったところで若者の声は聞かれないんじゃないの?

若い世代の投票率が上がったら、政治家は絶対に若者に注目します。

なぜなら、今後の自分の票に関わってくるから。そもそも私は若者の投票率が上がることそのものが持つ意味は大きいと思っています。「若い世代の投票率が上がった!」「若い世代は政治に関心がある」と政治家や政党が認識するようになれば、「若者向けの政策」に積極的に取り組むようになるからです。

政治家の方と対談して「どうして投票率が低いのか?」という会話をすると、「投票に行かないのは、日本の若者は幸せで困ってないからだ」とか、「なんだかんだ今の政治に満足できているってことでは?俺たちの頃は大学を休んで…」といった話をされたりもします。

個人的には「いやいや、政治を見放したくさせているのはそちらでは?」とか「目の前の生活や進路に追われていてそんな余裕がないだけですよ」とか「今の若い世代は俺たちの頃より恵まれている?確かにスマホもあるし学校に冷房暖房増えているけど、時代が違えば違う悩みがあるのですよ。状況も変わってて経済的にも不安を思っている人多いですよ」とか言いたくなります、というか言っています。

どこに入れるかの前に投票すること自体が、政治家たちに「私たちだって政治に求めたいことあります」と示すことになると思います。そう思って、私はNO YOUTH NO JAPANを立ち上げ、投票に行く人を増やしたいと思って活動をしています。

投票率が低いことで政治家に若者世代は政治に関心がない、今の生活に満足してるんだって思われてしまい結果自分たちに向けた政策が進まないという悪影響を生んでいるのだから、とりあえず行っておけばいいと思いませんか。どうでしょうか?

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ここまで、「投票に行かなかった」という人たちから聞いてきた7つの意見にお答えしてきました。結局精神論…みたいに思わせてしまったらすみません…。

でも、そんな感じでもいいと思うんです。街を歩いていてゴミを持っていたら、ポイ捨てせずにゴミ箱に入れる。ゴミをポイ捨てしないことって色んな意義があるけど、ゴミ箱に入れるその瞬間に「街の平和を保とう」とか「海の多様性を守ろう」とか考えないと思うんです。ゴミとゴミ箱があるから捨てる。ただそれだけ。

投票も、選挙があって投票券があるから行く、1票入れる、ただそれだけ。20代の7割が投票に行かない現状があって、投票に行かないことが普通になってしまってているかもしれませんが、投票権がある人は投票に行くのが当たり前であって欲しいです。だって結局、税金は契約してないのに払わなきゃいけないし、法律も守らないといけない訳で、税金の使い方や法律を決めたりするのが政治家で、その人たちを選ぶのが選挙だから。

もし、政治やこの社会に自分の意見をもっと伝えたかったら、投票以外にできることがたくさんあります。だから選挙に行くのには、大きな理由も意気込みも必要なくて、まずは自分の1票を何に使いたいか考えてみて、ささっと投票に行ってしまえば気持ちも晴れやかに1日が過ごせると思います。

ということで皆さん、投票に行く権利がある人は投票に行ってください!

そしていつも投票に行っているよ〜と思いながらここまでご笑覧いただいた方は、行かない人をバカにしたりするのではなく、そっとSNSでシェアしたり自分の周りの投票に行ってない人を3人くらい見つけて選挙の話をしてみたりして、せっせと投票する人を増やしていきましょう...!

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NO YOUTH NO JAPAN代表理事 能條桃子

1998年生まれ。一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN(@noyouth_nojapan)代表理事。若者の政治参加を日本でカルチャーにするために活動中。2021年9月よりハフポスト日本版U30社外編集委員に就任。慶應義塾大学経済学研究科修士1年。


寄稿:NO YOUTH NO JAPAN代表理事 能條桃子
編集:白鳥菜都